製造から廃棄まででクルマのエコ度を語るのは間違い!? 予測不能なちょっと先のエネルギー事情 (2/2ページ)

新世代の原子力発電を検討することが必須だろう

 日本のみならず、世界の火力発電依存を極力ゼロへ近づけるには、核エネルギーの利用が欠かせない。日本は、被爆国であることに加え、東日本大震災による福島第一原発事故などの影響により、原子力発電への懸念が強い。だが、あの事故をもたらしたのは、クルマでいえば1950~60年代のクルマを基準に、安全や環境性能を語るようなものだ。現行のクルマを見ずにクルマの利用やはめるべきだと言うのと同じである。

 最新の第4世代原子炉の中でも、トリウム溶融塩炉は、福島と同じ事故が起きたり、地震で建屋か崩れたりしても、メルトダウン(融解)を起こさない。また核兵器を極めて製造しにくい方式でもある。海外では、欧米のみならず中国や東南アジアにおいても、新世代の原子炉を開発、普及しようとする動きがある。

 廃棄段階の話としては、電気自動車(EV)で使われたリチウムイオンバッテリーはまだ7割近い容量を残している。これを単に再資源化したのでは余計なエネルギー消費を生じさせる。定置型で再利用することにより資源の有効利用が進む。クルマで使い終えたからといって、エンジン車のようにリサイクルしたのでは、かえって資源の無駄になるのだ。

 単に製造から廃棄までといった一元的な言い方で未来を想像することに、あまり意味はないのである。

  


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
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池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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