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あの時買っておけば……スバリストが悔やんでも悔やみきれない垂涎の限定車トップ3 (2/2ページ)

あの時買っておけば……スバリストが悔やんでも悔やみきれない垂涎の限定車トップ3

3位は記念すべきSシリーズの第一弾

 デトロイトショーでベールを脱ぎ、話題となったSUBARUの限定車S209。現場で取材をした山本シンヤ氏が開発者インタビューを行う動画がアップされており、北米専売とした理由などについて語られている。SUBARU車史上最強スペックであるなど、新たな伝説となるのは間違いない。

 SUBARUの限定車はいずれも価値が高く、「買っておけばよかった!」と悔やまれるものばかりだが、中でもとりわけ垂涎・羨望・後悔してやまないモデル3台をピックアップして、あらためてその魅力を思い出しておきたい。

3位 S201

 記念すべき「Sシリーズ」の第一弾。WRC三連覇記念車の22Bでハイオーナー向けプレミアムモデルの成功を収めたのち、初代レガシィの10万キロ速度記録達成を起源とするSTIの技術の粋を結集した最高性能モデルをシリーズ展開することが企画された。SUBARUの「S」を冠とし、主力ユニットであるEJ20エンジンが2リッターの世界ナンバーワンを目指すという意味から「S201」と名付けられた。第一弾だから「1」となったのではない。

 1999年の東京モーターショーに出展したこれの前身モデル、エレクトラワンが好評だったことも市販化を強く後押しした。当時はWRCで全盛期を極めていたが、同時にスーパー耐久やGT選手権にも参戦するなど、サーキットでのレース活動にも力を入れ出していたので、SUBARUが戦うステージはラリーだけだはないとの新たなイメージを広める狙いもあった。「泥や雪に強い」など、それまでのSUBARU車のイメージとは違う新しい魅力を訴求したのだ。

 300馬力に強化されたエンジンや、STI初の車高調サスやリンクがピロボール化されたリアサスなど、硬派なチューニングを実施。外観は、富士重工の航空宇宙事業部が入念な空洞実験により設計したエアロダイナミクス性能を誇る前衛的なエアロパーツの印象が強烈だったが、販売面ではこれが裏目となる。本気で性能を追求したエアロパーツがあまりに派手すぎたことと、当時のスバリストはWRCが大好きすぎてレース車への関心が薄かったことが販売的な敗因となってしまう。当時は20歳代の若者だった筆者も完全にスルーをしたものだった。

 不人気ゆえに販売台数が少なく、発売された当初から幻の一台となってしまったので、いまではSシリーズの中で物理的にもっとも入手困難となっている。神奈川県在住の有名なSUBARUマニア氏が所有するクルマを試乗させてもらったところ、「走りは究極のGC8!」と、一緒に試乗した山本シンヤ氏と泣きながら感動したほど乗り味は素晴らしい。デザインも実車を見ると悪くないどころか秀逸と思えるもので、GC8歳代の性能的な最大の難点であった空力性能が抜本的に解消されていることでも再評価に値する。これが発売された当時から、高度なテクノロジーが宿ったメーカー入魂の高性能車の本質を理解した人は慧眼の持ち主だ。今や世界が羨望する「Sシリーズ」の第一弾を新車で買った人は歴史の生き証人であり、偉人として讃えたい。

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