じつは後席の乗り心地もワゴンが勝ることが多い
3)絶対的燃費性能の高さ
ミニバンは背が高いだけでなく、人気車種は両側スライドドアを備え、バックドアも巨大になるため、その補強も含め、車重が増加する。同パワーユニットを使うワゴンとミニバンがあるとすれば、ワゴンのほうが軽量で、空気抵抗などの走行抵抗を含め、その実用燃費差は小さくない。
一例として、同エンジン、同モーターのHVシステムを搭載するホンダ・シャトルとフリードを比較すると、JC08モード燃費は中間グレードのシャトルHV Xホンダセンシングが車重1220kgで32.4km/L。フリードHV Gホンダセンシングが車重1410kgで27.2km/Lと大きく差がつく。実燃費差はさらに広がる場合もあったりする。
4)ラゲッジルームの使い勝手
たしかにミニバンでも3列目席を格納すれば、拡大したラゲッジルームを大容量ワゴンのように使える。
しかし車種によっては開口部に段差があり、3列目席使用時のラゲッジ奥行きはミニマム。たとえ3列目席を格納してラゲッジルームを拡大したとしても、フロア部分にシートスライドのレールがあったりして完全なフラットフロアにはならず、荷物の積載はともかく、たとえばペットを乗せるには適さなかったりする。
ワゴンの場合はシートアレンジすることなく、車種によっては高級感、振動騒音吸収性能さえある分厚いカーペットが敷かれた、ペットも快適に過ごせるラゲッジフロアが約束される。ワゴンにはキャビンとラゲッジルームを仕切るパーテーションネットが用意されていることもあるが、ミニバンにはまずない安全・便利装備である。
5)後席のかけ心地と振動のなさ
ミニバンの特等席と言えるキャプテンシートの2列目席とワゴンの後席を比べた場合、乗り心地、振動性能に優れるのはほぼワゴンである。ミニバンのキャプテンシートはシートスライドするため、レールの上に数点の支持で乗っているようなもの。しかも豪華なキャプテンシートは重く、重心も高いため、路面によって微振動が起こりやすい。それが、長時間の乗車になると疲労感につながることもある。
その点、ワゴンの後席は車体にしっかりと固定されているため、微振動が抑えられ、快適度につながるというわけだ。もちろん、ミニバンのキャプテンシートのほうがかけ心地のぜいたくさ、見晴らしがいいなどのメリットがないわけではないのだが……。
まとめると、立体駐車場への入庫容易性、低重心がもたらす走りの良さ、燃費性能、純粋なラゲッジルームの使い勝手、そして後席の快適度で、ワゴンが優位に立つ場合があるということだ。