後席乗り心地では最上級グレードが必ずしもいいワケではない
3)ゴルフ・トゥーラン
数あるミニバンのなかでも、2列目席においてセダンやハッチバック、ステーションワゴン同等の上質なの乗り心地を示すのが、輸入ミニバンのヒンジ式リヤドアを持つVWゴルフ・トゥーラン。
荒れた路面さえ心地よくいなすストローク感あるしなやかで上質な乗り心地は、ゴルフ・ヴァリアントのハイラインとほぼ同質。シートの取り付け部剛性がしっかりしていて不快なシート振動など皆無。それでいて着座位置、アイポイントは高めで、いかにもミニバンらしい爽快(そうかい)な乗車感覚をもたらしてくれるものの、重心の高さを感じさせる腰高感は皆無に近い。安心感、快適感たっぷりの乗り心地を堪能できるのだ。
そしてタイヤが発するロードノイズレベルは、遮音吸音性能を高めたのか、あるいは乗員の耳の位置が高くなったためか、ゴルフ・ヴァリアントより明らかに低く、全体的により静かで上級感があるという印象だ。
ただし、床下格納式の3列目席は簡易的なシートとなる。
4)トヨタ・アルファード・ヴェルファイア
トヨタの最上級ミニバン、アルファード・ヴェルファイアの後席の乗り心地は賛否両論と言えるかもしれない。
キャプテンシートは上からエグゼクティブラウンジシート、エグゼクティブパワーシート、リラックスキャプテンシートの3種類を用意するが、ぶっちゃけ、シート振動の大小を含めた乗り心地では、ベンチシート→リラックスキャプテンシートの順にいい。要はシートの重さと重心、取り付け部剛性による。上級シートは座面やダンパー内蔵の背もたれのかけ心地、振動吸収性能は良くても、高機能なひじ掛けは重く高く、とくにふた部分のビリビリした振動が、以前より良くなったとはいえ、取りきれていない。
個人的にファミリーミニバンとしてリラックスキャプテンシート仕様を薦めたいのは、価格だけでなく、そうした理由がある。
5)トヨタ・シエンタ(3列目席)
Sクラスミニバンの2列目席の乗り心地は、ライバル同士を比較してもそう大きな違いはない。厳密に言えば、走行性能ではホンダ・フリードがベストと言えるのだが、快適性に差が出るのは3列目席で、その点、評価できるのがトヨタ・シエンタ。
大人でもしっかり座れる空間、シート性能を実現。3列目席の乗り心地、快適性ではクラスベストと言える。しかも2列目タンブル格納によるシートアレンジで3列目席の乗降性は群を抜き、1列目と3列目席のみを使った足もと広大なコンパクトリムジン的な使い方も可能なのだから楽しい。