ターボはそもそも本来捨てるエネルギーを利用している
昔ながらのクルマ好きにとって、ターボ=ハイパワーであり、すなわち燃費が悪くなるデバイスというイメージがある人が多いことだろう。しかし、ダウンサイジングターボは省燃費につながるテクノロジーとして喧伝されている。果たして、ターボエンジンは燃費にプラスなのか、マイナスなのか、あらためて仕組みと効能を整理してみよう。
ターボチャージャーというのは、エンジンの排気を利用して吸気を増やす装置といえる。より正確にいえば、排気の熱エネルギーによってコンプレッサーを回し、吸気の圧力を高めることでシリンダーが吸い込む気体を増やすというものだ。同じ排気量でも多くの空気(酸素)を押し込むことができるため、より多くの燃料を燃やすことができ、パワーアップにつながる。そのため同排気量のNA(自然吸気)エンジンと比べると燃費的にはマイナスとなりがちだ。
しかし、そもそも捨てている熱エネルギーを回収して、利用しているわけだから、システム全体として見たときの効率は向上している。じつは最初期のターボエンジン(日本でいうと日産の6気筒・L20型ターボエンジン)では、そうした効率の良さをアピールしていた。現実的には小さい排気量で大きなパワーを得るための技術だったが、行政機関の認可を得るためには効率の良さを建前とする必要があったのだろう……。