昔と違い競合車種を増やすのは得策ではない
NGなお客その3)比較検討車種がやたら多いひと
大昔は、例えばカローラならば、ライバルメーカーでもサニー、シビック、ファミリアといったキャラの完全に被ったライバル車をラインアップしていたので、複数車種で激しく値引き額などを競い合わせて商談を進めていた。しかし、いまどきはそのような競合関係が成立するのは、軽自動車やコンパクトカー、5ナンバーボックス型ミニバンぐらいとなっている。それなのに、いまだに3車種以上を競い合わせて商談を進めてくるお客もいるとのこと。
事情通氏は「いまどきは、メーカーウエブサイトには詳細な商品情報だけでなく、諸費用なども計上できる、“見積りシミュレーションコーナー”が用意されています。さすがに値引き額までは計上できませんが、下取り査定額の計上やローン計算のシミュレーションまでできます。つまり、自宅で十分購入希望車種だけでなく、予算設定などの絞り込みができますので、本命1台もしくは、せいぜい対抗1台ぐらいで商談を進めるのが一般的です」と語ってくれた。
もちろん、昔ながらの手法で5~6台を横並びで比較検討していくことは問題ではない。ただ販売側から見れば、“購入意思が固まり切れていない”などと判断されることも多く、値引きも様子を見ながらとなるので、なかなか拡大していかないなど、メリットよりもデメリットのほうが目立つようになってきている。
ライバル関係のはっきりしている、ノア/ヴォクシー/エスクァイア、セレナ、ステップワゴンでも、「ノア3兄弟については他メーカー車と競合することはほとんどないということで、他メーカーライバル車の情報はあまり気にしていない様子です」とのことであった。
ヴォクシーを扱うネッツ店は同じ地域に資本の異なるディーラーが複数あるので、ヴォクシー同士の競合が可能、ノアも都市部を中心に同じ地域内に資本の異なるカローラ店が複数あるのでノア同士を競わせることが可能。エスクァイはトヨタ店とトヨペット店での併売なので、エスクァイア同士で値引きを競い合わせ、あとはせいぜいノア3兄弟車同士で値引きを競い合わせれば十分納得のいく値引き条件を引き出すことができるのである。
セールスマンの世界もひと不足は深刻であり、商談1件あたりにかかる時間のセーブなど、効率の良い販売活動もセールスマンの重要な人事評価基準となっているのである。