一度商談しただけで「知り合いのセールスマン」扱いは逆効果
NGなお客その2)自称“新車購入事情通”同伴での商談
意外と多いケースとしては、直近で新車を購入したとか、“新車の値引きにはうるさい”という、いわゆる“事情通”を同伴して商談を進めるケースとなる。
「新車購入というのは、下取り車の有無やローンを使うか否かなどで値引き条件が変化しますので、過去の成功体験を持ち出されても、まったく同じ条件にはなりません。しかも、購入を最終的に決めてくれるのが同伴者様なのか、実際に購入されるご本人様なのかがはっきりしないことも多いので、こちらとしても値引きアップなどは慎重にならざるを得ません」とのことであった。
もっとやっかいなのが、それまで何の接点もなく、フリーで来店したので接客応対し、そのまま契約となっただけなのに、“知り合いのセールスマン”扱いされるのも抵抗があるとのことである。
事情通氏によると、「新車販売の世界では、契約して納車をしてからがお客との付き合いが始まるとされています。そして再び同じセールスマンから新車を代替えしてもらうことで初めて“人間関係が構築できた”ということになります。しかし、最近は『5~6年前に新車商談をした(購入はしていない)●●ですけど』といった感じでやってくるお客も目立つようです。覚えていてもらうことはセールスマンにとっては嬉しいようですが、はっきりいって、それで際立って値引きが拡大するということはまずないです」とのこと。
このような浅いつきあいなのに、新車購入を検討している自分の知人を連れてきて「値引きをなんとかして欲しい」といわれても、特別な値引きアップはまず期待できないだけでなく、“最終決定者がわからない”ということも加わり、値引きが伸び悩むこともある。
浅いつきあいではなく、有力なコネを持つような知人がいたら、まずは自分ひとりで商談を進め、深追いしない範囲での値引き額などの入った見積書の作成ぐらいまで進めておくこと。そして条件を詰める段階に「じつはとりあえず自分だけでまわってみたんだけど」と知人に相談すれば、知人と繋がりのあるセールスマンが紹介される。すでにある程度値引きを引き出しているのだから、セールスマンは当然それ以上の値引き額を提示しなければ、紹介した知人の顔をつぶすことになるので、値引きアップに有効となるのだ。知人(太いコネのあるレベル)はあくまで奥の手なのである。
また例外的なのは、娘さんのクルマを購入するために、父親が同行するケース。「このようなケースでは、車両代金を払うのはほとんどのケースでお父さんとなります。どのクルマにするかは娘さんに当然選択権はありますが、値引きなどの交渉に関してはお父さんが交渉相手となりますし、お父さんの心をつかめば『このクルマにしなさい』ということになるのも期待できます。普段は若い女性ひとりでディーラーに新車を見に来ることなどはまずありませんので、親御さん同伴でディーラーにくるということは『買う気満々』という判断となります」(事情通)。