スマホ&アプリの普及で変わるタクシー業界の実態! 年収1000万円ドライバーの誕生も (2/2ページ)

スマホアプリがタクシー業界に革命をもたらした

 その背景にあるのが“アプリタクシー”の普及だ。これは自分のスマホに専用アプリをダウンロードし、そのアプリでの簡単操作でタクシーを呼び寄せることができるというもの。

 ここのところは景気が良いとされているが、それまでの長い間の不況もあり、タクシー利用客は減少する一方であった。ところが、いままでのようにタクシーが多くいそうな大通りまで出て空車のタクシーが来るのを待たずに、簡単に自分のいまいる場所にタクシーを呼び寄せることができるという新しいサービスの導入が新たな利用客を呼び込んでいるようなのである。

タクシー

 いち早くアプリタクシーを導入した都内の大手タクシー事業者で年収1000万円の乗務員がいるというので、業界事情通に聞くと、「多少眉唾な部分もありますが、ベテランドライバーだけでなく、多くの乗務員がそれ(1000万円)に近い収入を得ているのは確かなようです」とのこと。

 そこで「それは東京に限った話なのでは?」と聞き返すと、「東京に隣接する横浜あたりでも、アプリを導入した事業者のなかには月収40万円以上が当たり前となってきているとも聞いています」という。

 日本国内では一般車両でのライドシェアは“白タク”行為となり違法となっているが、アプリの導入でタクシーがライドシェアに近い利便性を持つようになり、利用者が増えているようである。もちろん世の中の景気が以前のどん底に比べれば、好景気傾向となっていることも利用に弾みをつけることとなり、結果的にドライバーの収入増に貢献しているようだ。

 このアプリはそれぞれいくつかの事業者がいわば“相乗り”する形で運営されている。事業者単独で行うには、従来の無線配車も当然残っているので、車両が足りずに満足な配車ができないのは当たり前の話。複数の事業者が集まり対応車両台数をできるだけ増やし、利用者を待たせることなく対応できなければ、なかなか利用は増えないのである。

タクシー

 いまはアプリ活用については都市部が中心となるが、今後は全国的に広がっていくことだろう。さらにAIも積極活用して、時間帯などによって需要の多い地域を予測してタクシーをその地域に集めるなど、より効率的で利便性の高いサービスの提供が受けられるようになるとのことであった。規制緩和を実施したころは料金競争が激化したが、今後は、“乗りたい時にその場ですぐ乗れる”といった利便性での競争に拍車がかかりそうである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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