次世代エンジンを睨んだ開発の結果である可能性
そもそもバルブスプリングは金属バネというシンプルで古典的な部品であって、余裕を持たせた設計にしておけば、こうしたトラブルを起こさずに済むようにも思える。しかし、エンジンの燃費性能などを突き詰めていくと、ここも見過ごすことはできない。なにしろ、カムシャフトでバルブを動かすごとにスプリングを縮める必要があり、バルブスプリングの抵抗を減らすことは効率アップにつながるからだ。バルブスプリングのバネレートを必要最小限とすることは燃費性能に対して効果的であり、ギリギリまで攻め込んだ設計とする意義はある。
その意味で、設計時においてバルブスプリングの抵抗を減らそうと攻め込み過ぎたから起きたリコールという仮説も成り立つだろう。だとすれば、内燃機関の限界へチャレンジする過程におけるトラブルであって、それ自体をよしとはできないが、これを乗り越えた先に、エンジンの新たな可能性が開けることを期待したい。