SUV人気により影が薄くなってしまったミニバン
クロスオーバーSUVの台頭、異常とも言える人気で以前より影が薄くなってしまったミニバン。もちろん、トヨタ・シエンタやヴォクシーなど、乗用車販売ランキングで10位以内に入っている人気車もあるにはあるけれど、以前の売れ筋ミニバンの多くは、こと販売ランキングでは沈んでいるのが現状だ。
たとえばホンダ・オデッセイ。2018年11月の販売台数は1344台と、ランキング39位。モデル末期、新型が登場している三菱デリカD:5は1135台。トヨタ・エスティマに至っては756台で50位に沈んでいる。
かつて一世を風靡(ふうび)した、もっとも売れ筋のMクラスボックス型のホンダ・ステップワゴンにしても4200台で21位なのである。
そこで、ここではもっと評価されるべき、中身は良くてもなぜか売れないミニバンを3台選んでみた。
1)ホンダ・ステップワゴン
まずはホンダ・ステップワゴンだ。同クラスの日産セレナ、トヨタ・ヴォクシー&ノアと比較試乗する機会はこれまで何度もあったのだが、走りの質感、乗り心地、エンジンなど、走りにおいては依然、ピカイチ。2列目席のかけ心地の良さでもクラス最上。燃費性能にしても高速&郊外路で18km/L、一般道のみでは20km/Lも可能な経済性を誇るのだ。
が、その実力とは裏腹に、あまり売れていない。その理由を販売店に聞くと、ミニバン購入の決定権を握る女性、奥さまにいまいち不評。原因はどうやら、使い勝手抜群、バックドアからも人やペットが乗り降りできる5枚目のドアを備えたわくわくゲート部分が左右非対称、かつリヤバンパーが存在しないところにあるらしい。ちょっとボクには理解できないが、それが現実のよう。
でも、意を決して、ライバルたちと比較試乗していただきたい。運転し、2列目席、3列目席に座ってほしい。ステップワゴンがライバルよりいかに優れていることが分かると思う。
ただし、ステップワゴン・スパーダHVのACC(アダプティブクルーズコントロール)は渋滞追従型で0~135km/hの速度域で対応し(セレナは約30~114km/h、ヴォクシー&ノアはACC未装備)、使い勝手の良さはピカイチながら、減速&料金所などからの再加速はかなり緩慢。タイムラグが生じる場面もある点はちょっと残念。でも、速度域の幅広さや、付いているだけでもありがたみを感じるはずである。
ちなみにステップワゴンにはハイブリッド、ガソリンターボがあり、標準車とスパーダがあるが、内装が明るい標準車のガソリンターボがお薦めである。その軽快無比、気持ち良すぎる走りは絶品である。