大きなボディを感じさせない走りに驚いた
CARトップ読者のなかには「マリオはSUBARU基準でしか評価できないのでは?」と疑念を抱く人もいるかも知れないが、どうか安心してほしい。連載の1000kmツーリング企画のレギュラースタッフとして、さまざまなクルマでロングドライブを試しており、じつは長距離ドライブマイスターなのである! 今回チェックしたのは、ボルボのV90クロスカントリー。エンジンは2L4気筒のディーゼルターボで、駆動方式はAWD。オプションを含めると900万円を超える豪華仕様グレード「サマム」になる。
エクステリアデザインは、トールハンマーと呼ばれるT字のLEDライトがボルボのアイデンティティ。スキッドプレート付きフロントバンパーなどはクロスカントリーの専用装備となる。
ホイールハウスの外周やサイドシルにはチャコールのモールが装着される。XC60やV60と同じく新世代のSPAプラットフォームを採用する。
試乗車のインテリアは、チャコールカラーの上品な仕立て。バウワース&ウィルキンスの高級オーディオやHDDナビも標準となる。
2940mmのロングホイールベースがもたらす恩恵のひとつが後席の広さ。オプションで用意される超大型の電動パノラマガラスサンルーフは空がよく見えるので、子どもが喜ぶこと請け合いだ。
荷室をセパレートできるグロサリーバッグ・ホルダーは、荷物固定用のゴムも便利。リヤゲートと連動して自動で開閉するトノカバーも便利である。
新千歳空港でクルマを受け取った直後は、いかにも北米市場向け走りから機能まで隙のない作りで1000kmも楽々! の巨体だと思えたが、運転すると実寸よりもひとまわり小さなクルマに感じられた。北海道の道路が基本的に広いということを差し引いても、V90はボディが真四角だった頃のボルボと変わらず、四方の視界と見切りがとてもいい。
大きさがストレスにならないと同時に、動きも1.9tを超える車重にしては軽快だ。微低速域から厚みのあるトルクが得られるディーゼルエンジンと、ボディの各部に無駄な慣性マスがないおかげで、旋回中も巨体を転がしている感じがない。昔のボルボの大型モデルは巨大なレンガの中にいるように重々しかったが、今は軽くて高精度な殻に包まれたような感覚。各社が競うように刷新した新世代プラットフォームに共通する味だ。