過去の不祥事の影響が少なからず残っている
エクリプス クロスが正式発売となったのは2018年3月1日。2016年に発覚した燃費不正問題以降初となる、三菱自動車の新規投入車となったことでも話題となった。
自販連(日本自動車販売協会連合会)によると、エクリプス クロスの2018事業年度締め上半期(2018年4月から9月)の販売台数は5171台となり、月販平均台数約861台となっている。三菱自動車が3月1日に発信したニュースリリースによると、月販目標台数は1000台となっているので、2018事業年度締め上半期には1回も月販目標台数をクリアすえることはできなかった。自販連統計で発売月だった3月の販売台数が4996台と幸先のよいスタートだったので、そこからの急落ぶりというのも際立って見えてしまう。
このような販売統計の動きを見て判断できるのが、3月にそれまで予約受注してためていたバックオーダーを一気に掃き出してからの新規受注が伸び悩んだことを物語っていると判断できる。2018年度グッドデザイン賞受賞、2019年次RJCカーオブザイヤー受賞、平成30年度自動車アセスメントの衝突安全性能評価において最高評価となる5スターを受賞と、2018年度後半には、エクリプス クロスに関するトピックも目立ったが、これらが今後の販売促進に与える効果は残念ながら限定的なものと考えられる。
エクリプス クロスに対しては、自動車メディアなどでもおおむね好評価となっている。筆者も実際にステアリングを握ってみたが、その印象はかなり良いものであった。それではなぜ、エクリプス クロスは販売状況がいまひとつとなっているのだろうか?
それはやはり度重なるメーカーである三菱自動車に関するスキャンダルが影響していることは否定できないだろう。
2016年の燃費不正だけでなく、過去に2度のリコール隠しも発覚している。このような状況下では、すでに三菱車のユーザーであるならば、応援もかねてそれほど違和感なく乗っていた三菱車から代替えしてもらえるケースも目立つが、三菱車以外のクルマのユーザーがエクリプス クロスと同クラスのSUVの購入を検討したときに、購入候補から「三菱はなあ」と候補から外されてしまうケースが目立っているとも聞いている。
つまり自銘柄(三菱車)ユーザーの代替え促進はそれなりに受注につながっているのだが、他銘柄(三菱以外のメーカー車)ユーザーは、どうしてもメーカーのスキャンダルを連想し、購入候補にすらならないという状況が続いているのである。度重なるスキャンダルによって販売現場の弱体化が進んでいるのも影響しているようだ。