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人馬不一体御免! 元レーシングドライバーが語る運転を大きく左右する市販車の良いシート悪いシート (1/2ページ)

人馬不一体御免! 元レーシングドライバーが語る運転を大きく左右する市販車の良いシート悪いシート

走行状況によっても良いシートの条件は変わる

 マツダが提唱するまでもなく「人馬一体」というワードはドライビングを語る上で、非常に重要なキーワードになっている。乗馬を楽しむように、ドライビングは人がクルマに乗ることで初めて成立する訳で、人が着座するシートの座り具合がドライビングを大きく左右すると言っても過言ではない。

 シート、つまり座席は乗り心地、座り心地といった快適性にも重要な役割を果たすため、じつは思っている以上に要求が多い。たとえば、僕は腰痛持ちであるため、乗車したクルマのシートにランバーサポート(腰位置の支え)が装備されていないシートだと長時間運転する気になれない。それどころか乗り込んだ瞬間にシートの具合が合わず降りたくなってしまうクルマもあった。ではどんなシートならドライビングを楽しくサポートしてくれるのだろうか。

 みなさんはドイツ車にシートに腰掛けた経験がおありだろうか? 国内ユーザーの多くは座り心地が固くて悪い、と評する。確かにシートのクッション性は固めである場合が多い。家庭用のソファなど柔らかくてフカフカな方が座り心地が良く快適で体を休めるには好都合だろう。

 似たような考え方でシートの固さを柔らかめに設定していたのが従前の米国車だ。土地が広く道路のほとんどが直線の米国では長時間まっすぐ一定のスピードで走るケースが多く、シートの役割は家庭用ソファと似ている。だがそんなシートで連続するカーブを走ったらどうだろうか。体が上手くホールドできず、人馬一体どころか人車バラバラな走行姿勢になってしまうだろう。荒くれ馬を乗りこなすホースライディングのように、中腰でステアリングを手綱の如く握りしめ体を保持しなければならなくなる。

 欧州車のシートが固めなのはこうしたコーナー区間で左右にかかる横Gに対して体をしっかり支えドライバーが正確な運転操作を行えるようにする為なのだ。クッションが固いからといって不快な訳ではない。

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