スライドドアのミニバン全盛時にあえてヒンジドアのミニバンを選ぶ利点とは? (2/2ページ)

費用面や耐久性などではヒンジドアが有利

 スライドドアを採用するとどうしても開口部の補強、電動化などのためのスイングドアでは必要のないパーツの追加が不可欠で、車重が重くなり、よって燃費にも影響する。当然、値段も高くなりがちだ。

 また、新車時には気にならないかもしれないが、スライドドア車は長く乗っていると、スライドドア部分のガタつきが出てくる可能性があり、走行距離を重ねると安っぽい乗り心地になることもありうる。ここは便利さとのバーター部分なのだが、10年10万キロを目指すような乗り方、使い方では、どこかのタイミングでドアまわりの補強整備が必要になるかもしれない。

 つまり、逆に言えば、そのあたりにスライドドア全盛時にあえてスイングドア式のミニバンに乗るメリットがある。スライドドア車より軽量で燃費性能に優れ、より高いボディー剛性を確保できるため走りが良く、長年乗り続けても比較的ボディがしっかりしたままでいられるのが、ヒンジ式ドアのミニバンだからである。

 とはいえ、ミニバン本来の使い方、乗降性の優劣からすれば、スライドドアのミニバンのほうが使い勝手が良く、同乗者からも感謝されることは間違いない。誤解なきよう付け加えれば、しっかりスポーティーに走れるミニバン=ヒンジ式ドア、とは言い切れない。スライドドア車なのに、走りがスポーティーカーに匹敵するオデッセイ・アブソルートのようなミニバンもあるわけで……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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