高齢者や子どもを含めた乗降性ではスライドドアが圧倒
ミニバンと言えば、両側スライドドアを備えた3列シートの多人数乗用車を想像する人がほとんどだと思う。セダンやワゴンのようなヒンジ式ドアを採用するミニバンは、もはや少数派。日本で買えるヒンジドアを持つミニバンはトヨタ・プリウスα、ホンダ・ジェイド、VWゴルフトゥーラン、シトロエン・グランドC4スペースツアラーぐらいのもので、風前のともしび……である。
かつての国産ミニバンのヒット作と言えばオデッセイだが、その5代目からはついに両側スライドドア車に変身。「走りのためにヒンジ式ドアにこだわる」という初代からのコンセプトを潔く捨てた経緯がある(それでもスポーティーな走りにこだわり続けているが)。
ミニバンの多く(プチバンや軽自動車まで!)が両側スライドドアを好んで採用するのは、もちろん、多人数乗用車、ファミリーカーとして絶大なるメリットがあるからだ。スライドドアはボディ側面に沿って開閉するため、ドアを全開にしても張り出し量は小さく、狭い場所での乗降性は抜群。開口部を大きく取れるため、家の玄関に階段を上がって入るような自然な姿勢で乗り込め、足腰の弱ったシニアや、妊婦さん、和装でも乗り降りしやすい。とくに3列目席の乗降のしやすさでは、スライドドアが圧倒する。もちろん、隣のクルマにドアをぶつける心配もほぼなくなるわけだ。
しかも車種によってはハンズフリーオートスライドドア機能が備わり、スライドドア下に足を差し出すだけで自動開閉。両手に荷物を持っていたり、両手でペットを引いているときでも楽々ドアを開けられ、閉めることができる。これはヒンジドア車では(タクシーを除く)では絶対にできない便利さだ。
ちなみにペットの犬が後席に乗り込む場合でも、スライドドアは大いなるメリットがある。犬はヒンジドアのように開けたドアに対して斜めにジャンプすることが不得意。しかしスライドドアなら正面に向かってジャンプして乗り降りできるので、より安全なのである。
では、今やミニバンの王道と言えるスライドドアにデメリットはないのだろうか。あります。