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新たに検討の始まった自動車の「走行税」導入で「トクする人」「ソンする人」 (1/2ページ)

新たに検討の始まった自動車の「走行税」導入で「トクする人」「ソンする人」

制度設計はこれからだが実施するなら燃料への課税を廃止すべき

 2018年11月頃、政府・与党が自動車税の改革にあたり、将来的に「走行税(走行距離に応じた課税)」を検討しているという報道があった。単純に現状の自動車諸税に「走行税(仮)」が加わるという増税ではあれば反発は免れないのは自明だ。走行税(仮)の狙いが報道にあるように、燃料を消費しないゼロエミッション車(=電気自動車)と内燃機関を積んだエンジン車の差を埋める課税として考えているのであれば、電気自動車は走行税、エンジン車は従来どおり燃料への課税によって走行税と同義の課税をしているとすべきだろう。

 というのは、走行税と燃料への課税を併用するということは、実質的に二重課税となってしまうからだ。かといって、燃料への課税をやめて(減税して)エンジン車にも走行税を適用するとなると、燃料代が下がってしまうことで市民感情として省燃費へのインセンティブが下がってしまう可能性が大きい。CO2削減が国際的な目標となっているときに、そうした制度設計をすることはあり得ないといえる。仮に走行税を新設するとしても、エンジン車には適用すべきではない。

制度設計次第ではプラグインハイブリッドがオトクになる?

 そうなってくると電気で走ることもできるプラグインハイブリッド車(PHV)への課税をどうするのかという問題も出てこよう。仮に電気自動車にのみ走行税を課すとすれば、PHVを電気で走らせているのが税金的にはオトクとなってしまう。電動車両が増えていくことが予想される中で、そうした隙のある制度になるとも思えない……。

 燃料への課税をやめて、新設した走行税に一本化するか、電動車両のみに係数をかけて走行税を課すか。いずれにしても、一長一短があり複雑な仕組みとなりそうだ。なにより課税するために走行距離を把握する必要がある。つまり、すべてのクルマに課税のための公的な距離計をつける必要がある。精度を求めるのであれば2018年11月より運用のはじまった「みちびき(準天頂衛星システム)」を利用したいところだが、専用端末を短期間で国内にある全車に装備するというのは非現実的だ。なにしろ、国内の保有台数は8214万1632台(平成30年9月末)もあるのだから。

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