燃費の悪いクルマに乗っていると税負担が軽くなるかも?
車検時に確認するオドメーターの表示を利用して課税するという方法も考えられなくはないが、そうなると重量税を廃止しない限りは車検時の税負担が大きくなりすぎてしまう。というもの、自動車諸税の内訳をみると半分以上が燃料課税になっている。走行税を新設して燃料課税の代わりにしようとするならば、その税額を2年に一度の車検時に支払うというのも考えづらい。
結局のところ、ユーザーからすると実質的な走行税については燃料課税によって負担している。その二重課税を解消して走行税に置き換えるとすると、燃費の悪いクルマに乗っている人は負担が軽くなり、いわゆるエコカーのオーナーはうま味がなくなる傾向となる。前述の通りに、環境意識を後退させることになるのでそうした制度設計は考えづらい。一方で、電動車両にだけ走行税を新設するというのは税負担の公平性は高まるかもしれないが、こちらも電動車両の普及を阻害してしまう可能性が大きい。これもまたエミッション面での環境負荷低減に逆行してしまう。
報道によると、カーシェアリングの普及への対応という面もあるようだ。たしかにシェアリングが進めば保有台数は減っていくので保有税の税収も減っていく。しかし、保有税(現状では自動車税や重量税など)が減っていくのを走行税(現状は燃料課税)でカバーしようというのは、理解しづらいアプローチではないだろうか。