新車当時は見向きもされず……今になってジワジワ人気上昇中のモデル3選

新車価格を上まわる価格で取り引きされる個体も

 どんなにメーカーが満を持して開発した車種であろうとも、市場で人気がなければ静かに消えていく運命というのが自動車のシビアなところ。鳴り物入りで登場したにもかかわらず、販売台数が鳴かず飛ばずだった悲しい車種も少なくない。

 しかし、そんな新車時は不人気車だったのものの、時代の流れなどで再評価され、いまではすっかり中古車市場で高値安定という車種も存在している。そこで今回は、販売終了後に再評価されてジワジワと人気が上がってきたモデルをご紹介したい。

1)ホンダ・インサイト(初代)

 初代プリウスに遅れること2年、ホンダが満を持してリリースした量産ハイブリッドカーは、ホンダらしい軽量コンパクトでスポーティなフォルムを持っていた。それが初代インサイトである。CR-Xを思わせるコーダトロンカスタイルのリヤの造形や、空力を考慮してリヤのタイヤハウスをスカートで覆うなど近未来的なイメージのデザインで、NSXで培ったアルミ生成技術を使って800kg台までに絞り込んだ車両重量と相まって、当時のプリウスを超える10.15モード燃費35km/Lという当時世界最高となる驚異的な数値を叩き出していた。

 しかし、その見た目に反して走りはそれほどスポーティではなく、せっかく用意されていた5速MTも燃費を重視したワイドなギヤ比。そして日常使いでは不便な2シーターということもあり、商業的に成功したとは言えないモデルだった。

 だが、今になってその唯一無二のコンセプトが再評価されて中古車市場では価格が上昇中。とくに5速MT車の値上がりは顕著で、低走行の個体では100万円にせまる価格となっている。

2)スバル・アルシオーネSVX

 スバル初のフラッグシップカーとして1985年から1991年まで生産されていたアルシオーネの後を継いで91年に登場したのがアルシオーネSVXだった。といってもスバルのフラッグシップクーペというポジション以外はほぼすべてが新開発となっており、日本国外では単に「SVX」としてまったくの新型車として販売されていた。

 そんなアルシオーネSVXの特筆すべき点と言えば、イタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによるエクステリアデザインだろう。ドアガラスがルーフ面にまで回り込む形状を採用したため、ウインドウを下げることができず、ウインドウを分割して下側のみがわずかに開閉できるようになっている(当時はまだETCもなかった時代である)など、実用性よりもデザイン性を優先したチャレンジングなエクステリアを持っていた。

 しかし、上級グレードでは400万円に届きそうな価格帯が災いしたのか、日本国内では苦戦することとなり、大きな改良もないまま96年で販売を終了してしまった。そんなアルシオーネSVXもようやく時代が追いついたのか、今では専門店も存在し、程度の良い上級グレードであれば150万円は下らないといった状況。なかには新車価格を上まわるプライスタグがつけられたものも存在している。

3)三菱GTO

 現時点では三菱自動車最後のスポーツクーペとなっているGTO。生産を終了したのが2000年のことだから、すでに最終型でも18年が経過している計算となる。そんなGTOは、当時の北米市場を強く意識したグラマラスなボディに、三菱得意の4WDシステムを搭載したGTカーだった。

 V6・3リッターエンジンを搭載し、アルミ製4ポット異径対向ピストンを持つブレーキキャリパーや、ドイツのゲトラグ社製マニュアルミッションなどを搭載し、当時のN1耐久(現・スーパー耐久)ではスカイラインGT-Rに挑むなどスポーツカーとしての側面も持ち合わせていたが、分厚いトルクを武器にATでサラっと乗るのもアメ車的で悪くないモデルであった。

 当時はそんなキャラクターが受け入れられず、大掛かりな変更を受けたものの販売は好転しなかった。しかし、今となっては貴重な三菱のスポーツカーということで、最終型のツインターボのMTモデルなどは200万円台~300万円台という価格で推移しているのである。


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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愛車
日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
趣味
長距離ドライブ
好きな有名人
ザ・リーサルウェポンズ

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