【試乗】クルマの楽しさはパワーじゃない! BRZ STI Sportは純粋な操る喜びに浸れるモデル (2/2ページ)

スポーツモデルとはいえもう少し使い勝手は工夫してほしいところ

 今回の試乗車はMTだったが、シフトレバーの位置をもう少しドライバー寄りにしてくれれば、より走りの楽しさが増す。当然腕の力や体格によって差があるため、これで十分という人もいるだろうが、シフトレバーを操作する際、縦よりも横の動きのほうが力が込めづらいのは人間に共通したものだ。さらに、身体から横方向に離れれば離れるほど、力が入りづらくなる。つまりより素早く、正確に操作するために、邪魔にならない程度、ギリギリまでドライバー側に寄せてほしいというわけだ。逆にいえばそういったところに注文を付けたくなるほど、BRZ STI Sportが楽しく、走らせることにのめり込んだということでもある。

BRZ STI Sport

 もうひとつ、ペダルの配置も気になった。要はブレーキとアクセルの奥行きの関係だ。私自身、86やBRZをサーキットで走らせたことがある経験上、サーキットなどでブレーキを思いっきり踏み込む状態でのヒール&トゥならばこれでも問題ない。だが、公道を中心とした走りでは、ブレーキをそこまで踏み込まずにダウンシフトをするシーンがある。当然スポーツモデルなのだから、楽しむためのヒール&トゥを行う人も多いだろう。その際、アクセルとブレーキペダルの段差が大きく、減速度を変えずにアクセルをアオることが難しいのだ。安全面も考慮した配置なのだろうが、このあたりノーマルではない、STI Sportならば……と望みたくなった。

BRZ STI Sport

 さて、今回数日間さまざまなシーンで試乗したが、ハッキリ言って室内のユーティリティは使いづらい。まずセンターコンソールだ。もはや強制的に走りに集中しろと言わんばかりのドリンクホルダーは、ハッキリいってなし。前後移動できるのだが、前にセッティングしても後ろすぎて使いづらい。

BRZ STI Sport

 これと連動するが、小物系の配置も上手くいかない。スマートフォン、スマートキーひとつとっても、しっくりと収まらないのだ。そんなクルマいくらでもある、という声もあがりそうだが、今どきのクルマはジャンル問わず、そのあたりがよく出来ているものが多いだけに、気になるのだ。

 何もスポーツカーだからといって不便にする必要はない。たとえば超スパルタンなロータスのいくつかのモデルのように、「このクルマは走りのみ」と主張するならわかるが、少なくとも収納やドリンクホルダーをいくつか用意している時点で、そうではないはず。ならばもう少し工夫があってもいいと思う。

 それはさておきBRZ STI Sport、「GT」と比べて、たった20万円強しか価格が上がらない。となれば間違いなく買いのグレードだとオススメできる。久しぶりに純粋な楽しさを感じたクルマだった。

BRZ STI Sport


石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

-

愛車
トヨタ・エスティマ(MCR30)
趣味
読書(ミステリーが主)、TVでのサッカー観戦(バルサ/PSG/アルゼンチン代表/UCL全般)、映画鑑賞
好きな有名人
リオネル・メッシ、アラン・プロスト、綾辻行人、有栖川有栖、田中 瞳

新着情報