電動化したパワステが上質なフィーリングを生む
まずは舗装路だ。運転席に乗り込むと、あまりの豪華な仕上げに一瞬戸惑う。従来モデルD:5がプラスチッキーでコンサバティブなダッシュボードデザインであったのに対し、ソフトパッドでフルカバーされるのだ。さらに10.1インチの大型タッチスクリーンモニターがダッシュボード中央に備え付けられ、ウッドパネルやピアノブラックのコンソールパネルなど、上質な高級車のように仕上げられている。
これをフルモデルチェンジと言わないで何というのかと疑問に思えるほどの激変ぶり。しかし操作性、視認性ともによく、デザイン的にもレイアウト的にも好印象。しかもエンジンをスタートすると静かで振動が少なく、高級乗用車のように静寂な室内が実現している。インパネの見た目、触り心地だけでなく吸音、遮音面も大きく改善されている。
いよいよ走行開始だ。エンジンは新開発の2.2リッタークリーンディーゼルターボエンジンのみの設定。最大出力144馬力/3500rpm、最大トルク380N・m/2000rpmという比較的低回転を得意とするパワー特性を与えられている。これに初採用の8速(!)トルコンATが連結され4WDを駆動する。
発進は1速スタート。5.250というローギヤな変速比は、急な坂道でも発進をスムースで容易にする悪路を知り尽くした三菱ならではの設定と言える。舗装路の平坦路では2速発進でも十分と思えるほど力強い。一方7速、8速は0.809に0.673というオーバードライブの超ハイギヤードで、100km/h巡航は8速なら1600rpmでこなしてしまう。
2ndギヤのアクセル踏み込み領域からロックアップし、8速までロックアップ機能が組み込まれ実用燃費は大幅に向上しているという。
走り始めて感じるのは静かなこと。静粛性の高さは欧州プレミアムブランドに匹敵する上質さで、振動の少なさも特筆できるレベル。ステップ比の細かな8速ATは変速ショックが少なく、ビジーな変速プログラムでもないため実用性が高い。ステアリングコラム固定式のパドルを操作してマニュアル変速することもでき、シフトの応答性も高くコントロール性に優れていた。
また、ステアリングフィールが格段に向上していることも驚きだった。従来油圧のパワーアシストが行われていたが、新型はデュアルピニオンの電動アシスト方式を採用している。このセットアップが秀逸で、ワンダリングなど不要な路面からの入力を押さえ込み、操舵については適度な操舵力を残しつつ直進性、旋回時応答性も見事に調教されている。このステアリングシステムの操作性を体感したらもう油圧の従来モデルには戻れなくなった。
このように舗装路での走行性、乗り心地、快適性、そして質感の進化は目を見張るものがあり新型の実力を確認することができた。