ニュルでのEV最速ラップも可能と思える性能
さて、いよいよテストドライブの時間だ。コクピットに乗り込みドライビングポジションを決める。シートは前後スライド可能でポジションは決めやすい。助手席も備えていて今後のイベントなどで同乗走行なども行われるのだそうだ。
バックスキンのステアリングには、カーボンマウントのスイッチングユニットと液晶モニターが備わる。モニターには車速とバッレリー温度、パワーコントロールレベルなどが表示される。パワーレベルは1〜4まで選択可能で、4で最大出力が引き出せる。もちろん2ペダルでシフトレバーはない。ステアリングのパドルは現状ダミーだが、回生スイッチなどの機能が備わる可能性もあるだろう。
ステアリングのダイヤルスイッチをDに合わせると走行可能。アクセルを踏むと音もなくスルスルと動き出した。ステアリングは電動でパワーアシストされ、重くなく、軽すぎもしない。
徐々に速度を高めるが、最高速度が100km/hしか届かないコース設定のためダウンフォースは発揮されず、タイヤのグリップ感が乏しい。前後のLSDはフロントがワンウェイ、リヤは2ウェイとして加速旋回を考慮したセッティングとしている。ハンドルを切り込めば曲がるが、タイヤ温度も低くレーシングカーとしての走行領域まで試すことはできなかった。
直線区間ではパワーダイヤル最強の4まで試したが、最大トルクが瞬時に発揮され、強力な加速感に見舞われるものの車輪の空転は起こらない。トラクションコントロールやABSなどの電子制御系は一切備えていないが、4WDとしての基本的なトラクションの高さがモーターのトルクを余裕で受け止めているようだ。車体剛性は当然高く、バッテリー増量や2モーター化で1220kgまで車輛重量は増しているが、重心の低さと150mm延長されたホイールベースなどでコーナリング限界は高そうだった。
ブレーキは今回スチールローター製ディスクが装着されていたが、カーボンブレーキの用意もある。駆動モーターによる減速時回生も行っているが、市販車のようにブレーキ踏力に応じて回生力の強弱は行わず回生量は一定のままディスクブレーキで減速力は調整する。ハンドリングと車輛安定性を重視した結果のチューニングだ。
最高速度が220km/hまで引き出せるようになったことも本格的なサーキット走行をするのには重要なことだった。このリダクションギヤ付きトランスファーには前後さらにモーターを追加し水平対向2モーターを前後に備える4モーターまで理論的には可能だという。
RC02のバッテリー容量なら25分程度は全開が保てるともいう。とするとRC02による独・ニュルブルクリンク最速ラップアタックも見えてきそうだ。現状、中国のNIO EP9が6分45秒9というEV最速ラップを記録している。その壁は相当高いがニスモの技術力なら可能にしてくれるかもしれない。是非チャレンジしてもらいたい!