さらなるアップデートで市販モデルがどう進化するのか期待
ステアリング特性はセンター付近にしっかりと芯がありながらも、ステアリングを切り始めるとクセのない気持ちのよいコーナリングを堪能することができる。試乗した日は大粒の雨が降るあいにくのコンディションだったが、クルマの回頭性の良さはワインディングが続く道をどこまでも走りたくなる、そういう味付けになっていることが容易に想像できた。
その味付けを支える要素のひとつにアクティブディファレンシャルがある。電子制御によってロック率を0〜100%まで無段階調整でき、全自動で最適な路面状況に合わせて制御を行う。ロック率を変動させることで高い直進安定性を得られ、コーナーでは進入時から立ち上がりまで細かい制御を行うことで気持ちの良いコーナリングを実現している。
今回試乗したプロトタイプはまだ市販モデルではなく、今後さらなるアップデートを控えているとのことだが、マシン特性はドライ路面に振ったセッティングになっている印象を受けた。現状のセッティングであってもドライ路面であればハイレベルな走りが味わえる、そんなポテンシャルを感じることができた。最終決定した市販モデル車両の試乗がとても楽しみだ。
「新型スープラの目指すところ、それはスポーツカーとしての中立点」と開発責任者の多田哲哉さんは言う。ドライバーのスキルや走行環境に左右されないクルマ、モータースポーツ含めてどの方向にも進むことができる。クルマの味付けも各国に合わせるのではなく、世界共通で進めているとのこと。クルマを作る最初の段階から将来広がっていくであろう先の世界を考え予想しながらクルマ作りをしているのだ。
たとえばボディのデザインでは今後のモータースポーツに投入する際にとても重要な要素が込められているという。そういう“幅広い可能性”を持ったクルマに仕上げたいと思いを話してくれた。