名機4A-Gを搭載してモータースポーツでも活躍
1980年代中盤に一大ムーブメントとなった、全高の低い4ドアハードトップ車。その端を発したのは1985年に登場したカリーナEDであることはもはや説明不要なほど知られた事実だろう。
カリーナEDの大ヒットを受けて、他メーカーも同様のコンセプトの車両を次々と生み出していった。日産・プレセア、マツダ・ペルソナ、三菱・エメロード……。そして1992年に登場したのが、まさかの同じトヨタから2台目となる4ドアハードトップ車、カローラセレス/スプリンターマリノだったのだ。ちなみにセレスとマリノの違いは基本的には販売チャネルの違い(セレスはカローラ店、マリノはオート店)のみで、前後の意匠が若干異なる以外は共通となっていた。
セリカ系シャシーを使用するカリーナEDに対してカローラ系シャシーを使うセレス/マリノと、まさに弟分といったポジションで、複数のサイズを用意して顧客を逃がさないというトヨタらしい手法であった。搭載されるエンジンはほかのカローラ系車種と同じく1.5リッターと1.6リッターのハイメカツインカムエンジンと、1.6リッターのツインカム20バルブエンジンである4A-Gというラインアップ。その低い全高を生かして当時人気のレースだったJTCC(全日本ツーリングカー選手権)にも参戦していた。
また、TRDの手によってJTCC参戦車両と同じく3S-G型エンジンを搭載した「TRD2000」が限定販売されている。カローラセダンベースの車両は知られた存在だが、セレスベースも2台が生産されている。
1995年にはベースとなったカローラ/スプリンターはフルモデルチェンジを受けるが、セレス/マリノは主要コンポーネンツに新型のパーツを使用しながらも従来型を継続販売。結局1998年7月まで販売が続けられたが、4ドアハードトップブームも終焉を迎えており、後継車種の存在もないまま終了となった。すでに販売終了から20年以上が経過しており、街中で見かける機会もぐっと減ってしまった車種ではあるが、一時代を築いたクルマであることは紛れもない事実と言えるだろう。