運転方法はもちろん車内の温度管理も徹底したい
最近、高速道路のSA・PAで愛犬とドライブしている家族をよく見かけるようになった。SAにはドッグランや愛犬用ごみ箱を完備しているところもあり、新東名高速道路 駿河湾沼津SA(上り)にはPET PARADISE+OneDay Cafeも登場。全国に愛犬同伴型リゾートホテルが続々とオープンしていることもあって、愛犬とのドライブはかつてなく快適になっている。
ただし、モータージャーナリストであるとともにドッグライフプロデューサーとしても活動し、ラブラドールレトリーバーのマリアとジャックラッセルのララと暮らしながら、ペット専門誌、ペット専門サイト、ラジオのペットコーナー、ペットイベントなど(雑誌CARトップのドッグフレンドリーカー研究室 CT DOGの連載も)を手がけているボクから見ると、思わず「それはないでしょ、それは危ない……」という事例も少なくない。
1)事前のドライブプラニング
まず、愛犬と長距離ドライブを楽しむ場合、大切なのは、「赤ちゃんを連れてドライブする」ぐらいの配慮が必用ということ。そこで大切なのが、事前のプラニング。犬とのドライブでは2時間に1回はクルマから下ろし、新鮮な空気を吸わせ、お水を飲ませ、お散歩させてあげる必要がある。
そこで、どこで休憩してランチするか……といった情報収集が必用。つまり、ドライブの行程途中のドッグランのある高速SA/PA、愛犬と入れるランチスポットをしっかり調べておくわけだ。たとえば東京から東北自動車道を行くなら、佐野SA、那須高原SAにドッグランがある。
ランチスポットも、これからの季節は「テラス席のみペット同伴可」では寒い。店内まで入れるお店を探し、できれば予約しておくと安心・快適だ。
2)シャンプー&美容のタイミング
勢いで、愛犬をピカピカにしたくて前日にシャンプーや美容をする飼い主が多いけれど、それはできれば避けたい。愛犬の体力が消耗するからで、余裕を持って2日前が理想。
3)朝ごはんのタイミング
出発当日は、朝ごはんの量、時間に注意。直前に大量に食べさせるとクルマ酔いの原因になりがち。出発1時間以上前に、いつもよりちょっと少なめに与えると安心である。
4)愛犬を乗せる場所
愛犬が快適にドライブを楽しむためには、運転、乗せ場所にも気を配りたい。犬は車内でどこかにつかまれないから、急ブレーキ、急ハンドルは厳禁。赤ちゃんを乗せているようなスムースな運転を心がけるのは当然として、クルマにエコモードのような機能があるなら迷わずON。加速が穏やかになり、犬にやさしい走行になる。可変サスペンション付きのクルマなら、もっともソフトになる設定を選ぶといい。
犬の乗せ場所は後席がベスト。家族構成によって後席フル乗車というなら、ミニバンの3列目席、3列目席を格納し拡大したラゲッジルーム、SUV、ワゴンのラゲッジルームということになるが、暑い季節のドライブでは、犬の乗せ場所にしっかりエアコンの風が届くかが重要。
犬は全身被毛で覆われ、足の裏からしか発汗できない生き物。暑い季節の車内では熱中症になりやすく、命が奪われる危険性さえある。もちろん、助手席は絶対にNG。安全運転に支障をきたすし、万一、エアバッグが展開すると、命にかかわるからだ。
犬はシートベルトができないため、小型犬はシートベルトに固定できるキャリーバッグ、マツダやボルボの純正アクセサリーにあるペットカートのチャイルドシート用ISO FIXアンカーに固定できるコット、大型犬の場合は犬用シートベルトなどを利用すると安全だ。
5)愛犬の乗車場所に室内温度計センサーを
ラゲッジルームに乗せざるを得ない場合は、後席エアコン吹き出し口の装備が絶対で、ボクの場合、なおかつ犬の乗せ場所に車内温度計のセンサーを取り付け、運転席で温度をモニターしているほどだ。前席がエアコンによって23度でも、ラゲッジルームは30度になっていたりするから要注意。後席エアコン吹き出し口のないクルマなら、車内用サーキュレーターを使うといい。
6)後席にはフロアに落ちない配慮を
また、後席に乗せる場合は、万一の急ブレーキなどに備え、フロアに落ちないように、ハンモック状、またはバスタブ状のペットシートマット、ベッドを装着すること。車内の抜け毛、ヨダレ汚れ防止にもなる。ただし、エアコンの風がしっかり届き、前席の飼い主とのアイコンタクトができる、前部にメッシュ窓がついているものに限る。
じつは、ボクが開発にかかわった、後席に装着する理想の愛犬用ベッド「フラットベッドエクスクルーシブ」が、この11月からフォルクスワーゲンの純正アクセサリーとして全国のフォルクスワーゲン正規ディーラーから発売されている。これ以上のものはないと確信しているので、フォルクスワーゲンユーザー以外でもぜひチェックしていただきたい(up!、ビートル、2ドア車、軽自動車などには装着できないが……)。
7)ラゲッジルームに乗せるならクッションが必須
また、ラゲッジに乗せる場合は、ラゲッジフロアにジャストサイズ(ジャストサイズであれば、ズレることがない)のクッションを敷いてあげること。ただ快適な座り心地になるだけでなく、振動を抑え、ドライブをより快適にしてあげられる。わが家の場合、そのクッション(東洋紡プレスエアーの愛犬用マットレス)は滞在先の宿で愛犬のベッド代わりに使っている。
8)愛犬の乗せ方下ろし方
愛犬とのドライブを安心して楽しむには、クルマの乗せ方、下ろし方にも注意が必用だ。後席に乗せる場合はリードを付けたまま、ドアを開ける歩道側の反対側(右ハンドル車の運転席側後)に乗せてからリードを外す。
下ろす際は車内でリードを付けてから、飼い主が誘導し、下ろしてあげる。これは、狭い車内から開放されるときに、勢い余って車外に飛び出さないための安全対策である(ラゲッジルームに乗せる場合も同様)。
もちろん、一番安全な乗せ方は、バリケンネルと呼ばれるハードプラスチック製のケースに入れて固定するか、ボルボXC90やV90に用意されている純正アクセサリーの強固なスチール製ドッグゲートを使うことだが、バリケンはエアコンの風が届きにくいので、暑い時期のドライブでは一段と注意が必用。なかに運転席から温度が確認できるセンサーをつけておくのは必須と言える。
それでは、年末年始の愛犬とのドライブを、より快適・安全に楽しんでいただきたい。冬は暑さに気をつかわなくていいぶん、愛犬連れのドライブがしやすいですからね。