初売りセールを活用したいが軽自動車な年度末セールがお得
それでは税率引き上げ前後の損得勘定はどうなるのだろうか? 現段階では政府の対策がはっきりしていないところもあるのだが、やはり税率引き上げ前に購入したほうが得するのはほぼ間違いないだろう。どんな対策を政府が打とうが、今回は10%というわかりやすい税率へ引き上げられるので、そのインパクトは大きすぎ(単純に1割なので目に見えて税負担がわかりやすい)税率引き上げ以降の買い控えは防ぐことはおろか、いままでの引き上げ時の買い控えよりダメージが大きくなると考えるのが自然の流れといえる。
この流れが2019年内に解消されることなく、2019事業年度締め(2020年3月)実績へ悪影響を及ぼすのは必至。
メーカー及び系列ディーラーとしては、2019年9月までで事実上2019暦年締めでの年間目標販売台数クリアを狙ってくるぐらいの勢いでの販促活動を仕掛けてくる可能性も高まっている。
それでは我々消費者はどこに注目すればいいのだろうか。車両本体値引きのアップだけでは購入意思を早めるほどのインパクトやディーラー同士での差別化はなかなか出ない。そこでカーナビなどの用品特価や無料装着、特別低金利ローン、下取り査定額の上乗せなど、側面支援の充実が活発化してくるので、そのあたりの各ディーラー間で比較検討するのがおすすめ。これらは車両本体値引きと異なり、“2019年9月30日まで”など“期間限定”というフレーズが使いやすいので消費者の購買意欲アップにも効果的なのである。
各ディーラーの意気込みを探る絶好の機会が年明け早々に行われる“初売りセール”である。ダイハツやスズキは正月3日から行うのが恒例となっており、ほかのメーカー系ディーラーでも4日や5日から初売りセールを行うのが一般的。
そもそも松の内の時期に開催することもあり、このタイミングでガンガン売っていこうというよりも、このタイミングぐらいしかディーラーに足を運ぶことのできない人など、普段接触機会の少ないひとまで広く集客して、“きっかけ作り”の場と考える傾向も強く、そのため、来場記念品なども普段より奢ったものが用意されたりして、敷居をぐっと下げてくる。
普段より正月休みで時間のあるひとも多いだろうから、気になるディーラーをまわり「今年は消費税アップするよね」などと世間話のように探りを入れることも可能である。
軽自動車に関していえば、ホンダN-BOXは2018事業年度締めでも販売ナンバー1を狙っているし、スズキとダイハツのブランド別販売トップ争いは、久しぶりに年間販売台数でスズキがトップに返り咲きそうな勢いがあり、ダイハツとスズキのバトルが激しいので、年度末決算セールが断然買い得といえる。
登録車に関しては、カルロス・ゴーン氏の逮捕が現段階で新車販売にどこまで影響を与えるのか、捜査の行方、日産の今後の対応、さらに消費者の反応などすべてが未知数ともいえるが、事情通氏は「少なくともいままで日産以外のクルマに乗っていたひとが新車への代替えを検討する際には、日産車が候補から外れることは多くなることでしょう」とのことであった。
日産はここのところ、ノートの登録車販売ナンバー1や、セレナのミニバン販売ナンバー1達成など、販売ランキングに強いこだわりを見せていたが、2018事業年度締めではノートの登録車トップもセレナのミニバントップ達成もけっして楽観できない状況となっているといっても過言ではない。
このなかで日産車の購入検討をやめるひとの受け皿となるのはトヨタといえるだろう。ホンダはいまのところN-BOXの増販に体力を使いすぎ、フィットやフリード、ステップワゴンなど登録車販売へなかなか手がまわりきれていないのが実状で、日産の軽自動車であるデイズ系以外の日産車の購入検討をやめたひとの受け皿にはなかなかなりきれない。
一方でトヨタは年明け早々にヴォクシー/ノア/エスクァイアの改良を予定している。12月17日にはプリウスのマイナーチェンジも実施予定なので、話題に事欠かない状況にもなっており、日産のいまの騒ぎを“好機”と捉えて積極的に攻めてくるのは、トヨタ以外、あるいは新車販売以外でも商売の世界では常道であるのは明らか。
とにかく「消費税率が上がるのかあ、クルマどうしようかなかあ」といま頭のなかでボンヤリ考えているひとは年明けから積極的に動くことをおすすめする。
少なくとも“夏商戦”から動き出すのは、消費税率引き上げ云々で悩んでいるひとにとっては、かなりリスキーで遅すぎるというのは間違いない。