ライセンス収入が大きい上にフェラーリならではの特殊事情も!
フェラーリ社の売上の内訳を見ると、驚くべきことが判明する。確かにフェラーリは、自動車メーカーとしては非常に小さな企業だ。年間売上額は、4500億円に過ぎない。トヨタは約30兆円だから、数十分の一だ。
しかし、フェラーリ社の売上の約3割を占めているのが「ブランド関連ビジネス」なのだ。
ブランド関連ビジネスとは、おもに帽子やTシャツなどに、フェラーリのロゴを入れることの対価だ。帽子やTシャツは、もちろんフェラーリ本社が生産しているわけではなく、ロゴの使用を許可するだけ。それでその製品の売り上げの一定割合を徴収するわけだが、そういったロイヤリティ収入の額が、年間1000億円以上になっている。
日本では、フェラーリの帽子やTシャツは「センスが悪い」という感覚だが、全世界的には非常に人気がある。帽子やTシャツばかりではない。フェラーリ社は、ブランドイメージを傷つけない限り、あらゆる製品に対してフェラーリのロゴやマークの使用を許可する方針で、10年ほど前には、フェラーリ本社公認のパチンコ機(もちろん日本製)が登場したほどだ。今や、そういったロイヤリティ収入が、フェラーリ社を支えていると言っても過言ではない。なにしろロイヤリティ収入は、ほぼ丸々利益なのだから。
実際、フェラーリ社の利益率は、20%弱というとんでもない高さになっている。クルマ1台あたり約1200万円も儲かっている計算だが、じつはクルマで儲けているのではなく、ロイヤリティ収入で儲けているのだ。
そういった資金を使って、F1でも戦っているのかと思ったら、それもまた少し違う。フェラーリは、F1の中でも特別なチーム。あらゆる会社が、自らが持てる技術をフェラーリに提供したがっている。フェラーリF1チームは、それらの中から使えそうなものを「使ってあげる」のだ。お金すら取って!
もちろん、車体にロゴを貼るスポンサーからは堂々とお金を取るが、技術や部品を使ってあげる場合も、お金を取る(らしい)。使ってもらった側は、「フェラーリF1にも採用された当社のテクノロジー」と宣伝できるわけで、それは何よりも輝かしいPR材料になる。
トヨタがF1チームを運営していた時、年間600億円かけていたと言われるが、フェラーリの場合はまったく事情が異なる。ひょっとしてフェラーリは、F1にお金をかけるどころか、利益を出しているのではないだろうか。