効果自体が疑問な上に耐久性も低かった
かつてヘッドライトに小さなワイパーがついていたのを覚えている方も多いのではないだろうか? 輸入車に多かったのだが、最近ではまったく見なくなってしまった装備である。
機能としては見ての通り、ヘッドライトのレンズに付いた雨や汚れを取るものだった。輸入車に多かったのは、海外では高速道路はもちろんのこと、郊外の一般道でも平均速度が高く、また街路灯も少ないことから、ヘッドライトの光頼みとなることが多かったから。そもそも、ワイパーが付いていた頃のヘッドライトは暗く、少しでも明るくしようという配慮から付けられていた。
だから消滅してしまった理由としてまず挙げられるのは、ヘッドライトが明るくなったから。少々汚れていても、問題ない明るさが確保できるのは、皆さんも体感しているところだろう。
カバーが樹脂化されたのも大きい。以前はガラスだったので、ワイパーでキズがつくことはなかったが、樹脂だとキズがつきやすいし、表面の保護膜が落ちてしまうこともありうる。
そしてなくなってしまった原因かははっきりしないが、使えなかったというのもあるだろう。10cmぐらいの長さしかないだけに、しっかりと拭けていない感じだったし、耐久性も低かった。よくヘッドライトワイパーが曲がって使えなくなってしまったクルマも見かけたほど。空力的にも邪魔なのは確かだ。そもそも今の異形ヘッドライトではワイパーで拭こうにも拭けないだろう。
このようにヘッドライトワイパーはあまり効果がなかったように思えるし、使っている人もほとんどいなかったのではないだろうか。最近ではウォッシャーが付いているクルマが増えているが、これは雪対策が主な装着理由。最近主流のHIDやLEDはバルブ自体の発熱が少なくレンズ表面に付いた雪や氷を溶かすことができないため、光量確保のためにつけられているのだ。