想像以上にボロボロ! 雪道を走るとクルマの寿命が縮むワケ

対策済みの今どきのクルマでもダメージは受ける

 毎年酷暑続きだが、冬も突然ドカ雪が降ったり、超低温になったりと近年はかなり厳しい気候が続く。そうした気候の厳しさは人だけでなく、クルマも同じ。基本的にはクルマの場合、極寒試験を繰り返して耐寒性を確保しているので、気温が一気に下がったからといって、クルマそのものにダメージなどはない。もちろんオイルや冷却水、ウォッシャー液などのトラブルは寒いと発生しやすくはなる。

 では、まったくないのかというと、そうでもない。冬ともなると雪道を走ることもあるのだが、これが要注意というか、大きな問題を引き起こす。原因は凍結路面に撒かれる融雪剤で、塩カルとも呼ばれるがこれは塩化カルシウムの略。じつは成分としては塩なのだ。これが雪が降ったり凍結の危険性があると、夜のうちにバンバンと大量に撒かれたりする。

 そうなると、もちろん路面の雪や氷は溶けるのだが、クルマの下まわりに付着してしまう。塩が付くとどうなるか? 言わなくてもわかるだろう、鉄板をどんどんと腐食させていくことになる。もちろん自動車メーカーもこの点は対処していて、塗装を厚くしたりしている。現に昔の寒冷地仕様では下まわり処理が含まれていることもあったが、最近のはなくなっている。つまり、販売する車両全体で品質を上げているということになる。

 それなら大丈夫、と思うかもしれないが、じつはそうでもない。やはり塩害はすごくて、最新のクルマでも腐食させてしまう。メーカーも塩水噴霧試験はやっているので、おそらく新品の状態で塩が付いても問題はない。腐食が始まるのは、下まわりについたキズなどからで、これはメーカーも想定していないし、防ぎようがない。

 それでも最近のクルマは広がらないと思うかもしれないが、実際に数年間雪国で使われていたクルマの下を見ると、サビで真っ赤になりボロボロ。一部のパーツは形がなくなっていることも珍しくはない。こういったクルマはオークションで全国に流れることもあるので、中古車を買うときは、どこで乗られていたかを確認したほうがいいだろう。

 対策としては、雪道を走ったら下まわりを洗浄する。また走行頻度が高い場合は、専用のワックスやコーティング剤を下まわりに塗って対策をしておくのもいいだろう。数万円かかるが、ボロボロになるよりかはずっといい。また定期的に下を覗き込んで、サビが出ていたら、除去して再塗装などをしておくのもいい。ちなみに輸入車では、輸出エリアが広範囲にわたることもあり、最初から黒いベトベトのワックスを塗ってあることがある。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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