初代は「火の玉BOY」というキャッチコピーで話題に
当時を知らない今どきのユーザーからしてみれば、スバル・ジャスティと言えば、ダイハツ・トール/トヨタ・ルーミー/タンクの兄弟車である、1リッターエンジンを搭載したハイトワゴンということになるが、昔からのスバルファンからしてみれば、ジャスティと言ったら使い勝手に優れたコンパクトハッチバックだろう。
1984年に登場した初代ジャスティは、軽自動車のレックスとミドルクラスのレオーネの間を埋める車種として登場している。当時のリッターカーブームに乗って、ダイハツ・シャレードや日産マーチ、スズキ・カルタスに続いて登場したジャスティだったが、スバルの得意とする4WDを前面にアピールし「スバル・フルライン4WD完成」と銘打った販売戦略を行っていた。
85年10月には排気量を拡大した1.2リッターエンジンを搭載したモデルを追加。さらに87年2月には量産車世界初のECVTを搭載したグレードと2WDの1リッターエンジン車に追加している。残念ながら当時は高価で人気のグレードとはならなかったが、現在では一般的となったCVTミッションを搭載したコンパクトカーの先駆けと言えるだろう。
88年11月には、初めてフェイスリフトを含めた大規模なマイナーチェンジを実施。ここで1リッターエンジンはラインアップから消え、1.2リッターエンジンのみとなったほか、1.2リッターの4WD車でも前述のECVTが選択できるようになっている。
92年にはレオーネの後継車種としてインプレッサが登場したが、ジャスティは94年末まで販売が継続され約10年のモデルライフを終了している。その後、日本国内では1.5リッター未満のコンパクトカーは2010年に登場したトヨタ・ラクティスのOEM車、トレジアまで空白の状態が続いていた。
しかし、コンパクトカーの需要が高い欧州市場ではジャスティの名前が冠されたコンパクトカーは販売が続けられており、2代目ジャスティとしては、スズキ・カルタス(2代目)をOEM販売し、3代目ジャスティとしては同じくスズキのスイフト(初代)を販売している。さらに4代目としてはダイハツ・パッソ(初代)をOEM供給し販売がされていた。そのため、現行のジャスティはトータルで5代目となるが、こちらは欧州市場では販売されておらず、ややこしい状況となってしまっている。