軽自動車に搭載をしてラリーを優勝したモデルも
スーパーチャージャーとはエンジンの過給器システム全般で、じつは広義ではターボチャージャーも含まれる。
だが一般的には、クランク軸からの出力によって過給器を駆動する機械式過給器をスーパーチャージャー、排気ガスの圧力を使って過給するのをターボチャージャーと区別している。スーパーチャージャーは低回転域からも過給がかかり、小排気量車にも向いているなどのメリットがある。
スーパーチャージャー搭載車といえば映画マッドマックスの黒いインターセプターが有名だが、国産車にも少数ながらスーパーチャージャー搭載車は存在した。その代表的な車種を7台ほど挙げてみよう。
1)トヨタMR2(AW11)
初代トヨタMR2(AW11)の後期型にスーパーチャージャー付の4A-Gエンジンがあった。AE86にも搭載された1.6リッターの直4ツインカムエンジンは、低速トルクは大きくなく、それを補完する意味でスーパーチャージャーを装着。NAの4A-Gが130馬力だったのに対し、スーパーチャージャー付は145馬力にスープアップ。スーパーチャージャーを駆動するベルトのプーリーを大径化し、ブーストアップするチューニングも流行った。
2)日産マーチ・スーパーターボ
R32がデビューした1989年の登場となった、ターボチャージャーとスーパーチャージャーという二つの過給器を一台のエンジンに追加した「全部乗せ」仕様の日産マーチ(EK10)があった。モータースポーツのレギュレーションで、過給器係数をかけても1.6リッタークラスに収まるよう、エンジンの排気量をわざわざ57cc程ダウンさせ、930ccに設定。
低回転域はスーパーチャージャー、高回転はターボで瞬発力と高回転の伸び(110馬力)を両立するコンセプトで、「ダブルチャージ」と称していた。
だが、もともとシステムが大きく重いスーパーチャージャーにターボまで加えた結果、車重そのものは770kgと軽量だったが、重量バランスはフロントヘビーに片寄っていて、できのいいクルマとは言えなかった。
3)スバル・ヴィヴィオ
軽自動車としては驚異的なパフォーマンスを持った画期的な一台として1992年に登場したヴィヴィオ。660ccでは3気筒が主流だったのに対して、直列4気筒+スーパーチャージャーという強力無比なパワーユニットを与えられ、それを4WDで地面に伝達した(FFもあった)。
新設計のシャシーも強固で、あの世界一過酷なテストコースと言われる、ドイツのニュルブルクリンクでもテストを実施。筑波サーキットでもセリカやシビック、70スープラに匹敵するタイムを出していた(1分13秒台)。1993年のサファリラリーではクラス優勝し、一時はトヨタワークスのセリカよりも上位を走っていたほど。
ピークパワーは軽自動車の自主規制だった64馬力だが、スーパーチャージャー効果で低回転からトルクが厚く、高回転もきっちり伸びて大きなクルマをカモれる実力を持った軽自動車だった。