ミニバンやコンパクトカーも熱いユニットを積んでいた!
4)トヨタ・カローラ・レビン/スプリンター・トレノ(AE92)
AE92はFFになった最初のカローラ・レビン/スプリンター・トレノだ。レースやストリートでも、直接のライバルは同じ1.6リッターのホンダ・シビック。ホンダには伝家の宝刀VETCを積んだリッター100馬力の名機=B16A(160馬力)があったが、トヨタの4A-Gは120馬力……。マイナーチェンジでハイオク仕様になり、圧縮比アップで140馬力になったが、まだシビックには届かない。
そこで、スーパーチャージャーを投入した。後期型では165馬力になって、クラス最高出力となったが、NAと過給器付き比較されても……。当時はけっこう売れたが、残っている個体は少ない。
5)トヨタ・エスティマ
1990年にデビューした初代トヨタ・エスティマはコンセプト、パッケージ、デザイン、ハンドリングといったさまざまな面でミニバン史上に残る傑作。2.4リッターの直列4気筒エンジンを傾斜搭載してミッドシップ化するなど、非常に画期的な一台だった。
ただし、そのエンジン=2TZが135馬力しかなく、1.7トンクラスのエスティマには、ちょっとパワー不足だったという印象もあり、1994年にスーパーチャージャー付の160馬力仕様を追加。
日産はセドリック・グロリア、そしてスカイラインなど、早くからターボ路線のイメージを構築していったのに対し、トヨタは一時期スーパーチャージャーの車種を増やしていった。
しかしターボの進化やサイズの多様化に対し、スーパーチャージャーはユニットの大きさと重さ、メカニカルノイズ、高回転の伸びの悪さなどの欠点を克服できず、やがて姿を消していく。エスティマでは、燃費の悪さもネックとなった。
6)三菱デボネアV
三菱デボネアにスーパーチャージャーがついたのは、1987年。クライスラーが開発した2リッターV6エンジンは105馬力……。三菱のお家事情で、5ナンバー枠のボディが与えられていたが、節税しながらもう少しパワーをということでスーパーチャージャーが追加され、150馬力に! それとは別に、3リッターのNAエンジン搭載モデルもあった。高級車なのに全車FFというのも特徴だ。
ちなみに先代のデボネアは、22年間も製造された長寿モデル(「走るシーラカンス」の異名)だったが、スーパーチャージャーが用意された2代目は、1992年までの6年間に2万8007台が製造されて姿を消した。このデボネアVと、初代セルシオが3年間、同じ時期、同じマーケットで売られていたのが信じがたい。
7)日産・ノート
現行車でスーパーチャージャー車といえば日産ノートぐらい。ポンピングロスなどを減らしたミラーサイクルの1.2リッターエンジンに、スーパーチャージャーをプラスして、低回転域から1.5リッターエンジンに匹敵する力強さと低燃費を追求している(HR12DDRエンジン)。
しかしノートといえば圧倒的にe-POWERのイメージが強いので、スーパーチャージャーの影は薄い……。