わずか59台しか生産されていないクルマも……
クルマに限らずいえることだが人は数量限定、希少モデルといった言葉に弱いもの。おかげでレアなクルマは中古車相場でも高価だったりするわけだが、限定車ではなかったのに販売台数が非常に少なく、鐘や太鼓で探してもめったに見つからない希少車種がいくつかある。今回はそんなクルマをピックアップしてみよう。
1)三菱ディグニティ
限定車を除き、国産乗用車でもっとも生産台数が少なかったのは、三菱ディグニティの59台! 2000年に登場したものの、1年後の2001年に生産終了という超短命モデルで、プラウディアのリムジン仕様として開発された。
4.5リッターのV型8気筒エンジンは、280馬力のGDIで、なぜかリムジンなのにFFレイアウト。三菱グループの重役向けのクルマだったのかもしれないが、じつは秋篠宮家公用車にも採用された。販売価格は、1台999万円。
2012年に、日産のY51シーマのOEMモデルが、2代目ディグニティとして復活しているが、初代は中古車市場で250万円ぐらいの相場でときどき見かける!?
2)スバル・インプレッサグラベルEX
ワゴンベースのクロスオーバースタイルは、いまでは人気のあるジャンル。いまから20年以上前の1994年に登場し、大外ししてしまったクロスオーバーの先駆けが、インプレッサグラベルEXだ……。
ベースは初代インプレッサスポーツワゴン(GF型)で、最低地上高を30mmプラスして、185mmにアップ。フロントバンパーにはガードバー、リヤには背面タイヤを装着。オフロードテイストを加味した意欲作だったが、中途半端なキャラクターが災いして、生産台数はわずか1313台でストップ。
しかしこのクルマの存在が、のちにレガシィ・アウトバックやフォレスター、XVにつながっていったはずだ。背面タイヤカバーに書かれた「GRAVEL EXPRESS」の文字が、涙を誘う。
3)ダイハツ・アルティス
アルティス? 相当なクルマ好きでもその名前を知らない人が多いはずだ。じつはダイハツの最上級車種で、数少ない3ナンバーモデル。初代は2000年に登場し、ダイハツのオリジナルではなくトヨタカムリのOEMモデル。
たった1年でカムリのモデルチェンジに合わせ、2代目にバトンタッチ。2006年にデビューした3代目は、全幅1820mmの堂々としたボディになったが、447台しか売れなかった……。
4)日産ラングレー
かつて鈴木亜久里がCMキャラクターを務め、「亜久里がレーサーしない日」というキャッチコピーが与えられていたのが、最終モデルの3代目ラングレー。
初代は1980年にパルサーのコンポーネンツを流用して登場した、パルサーの兄弟車。ベースがN10パルサーなのでFFだが、それにスカイラインジャパンのパーツを使いまわして、ミニスカイラインのキャラクターとして日産プリンスが販売。キャッチコピーもまさかの「愛のラングレー」……。
2代目のN12ラングレーは、「ポールとポーラの新ラングレー」というコピーだったし、3代目は、「スカイラインズ・ミニ」として売り出したが、スカイラインファンにもそっぽを向かれ、その安易なクルマ作りはかの徳大寺有恒さんからも「悪しき日産を代表するようなクルマ」と酷評され、不人気モデルとして定着。
最後は、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯の宮崎勤が、犯行に使ったクルマとして報道され、イメージダウン。とどめを刺された感じで、1990年に生産終了した。