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一見鈍足なのにエンジンは強烈! スポーツカーをぶっちぎれる異端のクルマ5選

一見鈍足なのにエンジンは強烈! スポーツカーをぶっちぎれる異端のクルマ5選

スカイライン以外にも「羊の皮を被った狼」は存在

 スカイラインGT、のちの2000GT-Bは無骨な4ドアセダンだが、高性能エンジンを積み、公道でもサーキットでも速い走りを見せつけた。そこでクルマ好きは「羊の皮を被った狼」と呼び、尊敬の念を持って接したのである。このように、速そうに見えないが、走らせるとバカっ速いクルマは昔から存在した。

1)マツダ・サバンナスポーツワゴン

 1970年代、高性能なスポーツエンジンを積み、衝撃を与えたのが、マツダのサバンナスポーツワゴンだ。サバンナはロータリーエンジン搭載車の第5弾で、71年秋に発売されている。ロータリーエンジン専用モデルとして開発され、最初は2ドアクーペと4ドアセダンが送り出された。そして72年1月にルーフを延ばし、マルチに使えるステーションワゴンを仲間に加えている。

 基本デザインはグランドファミリアのバンに準じているが、スポーツワゴンを名乗っていることからわかるように飛び抜けて速いワゴンだった。エンジンは単室容積491cc×2ローターのロータリーだ。最高出力105馬力/7000rpm、最大トルク13.5kg-m/3500rpmを発生し、4速MTを駆使すれば痛快な加速を見せ、最高速は170km/hに達した。

 サバンナスポーツワゴンは後期モデルになると、単室容積573ccの12A型2ローター・ロータリーエンジンに換装する。これは排ガス規制を先取りしたもので、アンチポリューションの頭文字を取り、「AP」のエンブレムが付けられた。排ガス対策を施したが、前期モデルより性能向上し、120馬力/16.0kg-mを達成している。また、時代を先取りした3速AT(REマチック)も用意された。

2)三菱RVRスーパーオープンギア

 その後、羊の皮を被ったスポーツワゴンは絶えていたが、レガシィツーリングワゴンの成功により、90年代に復活の狼煙を上げる。第1弾となったのは異色のクロスオーバー4WD、RVRスポーツギアに追加されたスーパーオープンギアだ。大型のグリルガードが目をひくスポーツギアのルーフに手を加え、丸ごと後方へスライドするようにした。

 オープンギアは2リッターの4G63型直列4気筒DOHCエンジンだが、スーパーオープンギアはターボを搭載し、220馬力/30.5kg-mを発生する。スーパースポーツギアと違って電子制御4速ATだけの設定だが、加速すると速い。セリカやシルビアをミラーの隅からはじき出し、置き去りにした。だが、オールシーズンタイヤだったし、ボディ剛性も今一歩だったから、性格は直線番長だ。

3)日産ステージア260R

 この少しあとの96年10月、日産はローレル/スカイライン系のシャシーを使ったLクラスのステーションワゴンを発売している。ステージアで、リーダーは2.5リッターのRB25DET型直列6気筒DOHCインタークーラーターボだった。97年8月にエンジンにメスを入れたが、その2カ月後にGT-RのRB26DETT型DOHCツインターボや5速MT、フルタイム4WDのアテーサE-TSなどを移植した特別仕様車、260RSを発売している。

 260RSはBCNR33型スカイラインGT-Rのワゴン版で、RB26DETT型ツインターボは280馬力/34.0kg-mを絞り出した。路面に関わらず速い走りを披露し、キャビンとラゲッジルームも広々としている。

4)トヨタ・マークⅡブリット

 初代ステージアは大ヒットしたが、トヨタにはLクラスのスポーツワゴンがなく、販売店を悔しがらせた。そこで2001年秋に登場した2代目ステージアにぶつける形で、02年1月にマークIIブリットをリリースしている。気になるエンジンは、マークIIやクレスタと同じ2.5リッターの1JZ-GR型直列6気筒直噴DOHCが主役だ。

 フラッグシップのiR-Vは1JZ-GTE型DOHCエンジンを搭載する。最高出力は自主規制を守って280馬力だが、最大トルクは38.5kg-mと、ライバルのステージアを大きく引き離している。後輪駆動だから17インチタイヤでも力不足だったが、理屈抜きで運転するのが楽しい。が、20世紀の名残を残す古典的なワゴンデザインは不評だった。

5)三菱ランサーエボリューションワゴンGT

 もう1台、個性派のスポーツワゴンを紹介しよう。05年夏にランサーワゴンのホッテストバージョンとして限定販売されたランサーエボリューションワゴンGTである。フロントマスクはランエボIXに準じたデザインで、ワイドタイヤを履くためにフェンダーを膨らませた。

注目のパワーユニットは名機4G63型直列4気筒DOHC-MIVECだ。6速MT車は280馬力/40.0kg-m、マニュアルモード付き5速AT車でも272馬力/35.0kg-mのスペックを誇った。バンをベースにしているからカッコいいデザインではなかったが、驚異的な速さを誇り、気持ちよく曲がる。このギャップが魅力的だという人も多かった。

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