新開発の非対称パターンがウエット性能にも大きく貢献
昨シーズン、新たなスタッドレスタイヤとして登場したヨコハマタイヤのアイスガード6は、従来のスタッドレスタイヤとは次元の違う優れた氷上性能を備えている。だが、スタッドレスタイヤのニーズは氷雪路だけではない。都会や市街地区では冬季でも舗装路を走る頻度が高く、冬用タイヤといえども乾燥舗装路やウエット性能も求められる。アイスガード6は氷雪路での性能を向上させつつ、乾燥舗装路やウエット性能を十分に確保することを念頭に開発されているという。
乾燥舗装路とは一般的なアスファルト路やコンクリート路などさまざまな路面コンデションが存在する。そこで高性能を求めるなら夏用タイヤのハイグリップを選択すれないいのだが、雪道と乾燥路を行き来する頻度の高いユーザーにとってはいちいち履き替えることも手間がかかり大変だ。また、雪国でもウエット路面や乾燥路のシーンはありうる。そこでスタッドレスタイヤにも一般的な走行に耐えうる乾燥舗装路、ウエット性能の両立が求められてきた。アイスガード6はそうした多目的なニーズにも従来モデル以上の性能で応えているのだ。
舗装路においての性能は、乾燥路でもウエットでもコンパウンドとトレッドパターンの設計が性能確保に重要な要因となる。アイスガード6で採用しているクワトロピラミッドサイプにより、ブロックの倒れ込みを抑制し、剛性を確保している。これは氷結路において非常に効果的に操縦安定性へ寄与することが確認されているが、乾燥舗装路においても理屈は同じだ。とくに冬季の低温路面においては、走り出しのグリップも高く安心して走り出せる。
舗装路のウエット路はどうだろう。溝エッジの量が増加するとウエット性能は高まる。しかし、一般的には溝エッジの量が増えると接地面が低下し、氷上性能にはマイナスだ。そこで、イン側のパワーコンタクトリブにより接地性を向上させた。リブの中に溝を配置し、接地させながらエッジを増加させるパターンである。
また、アウト側ではジグザグのライトニンググルーブにより、溝エッジを増加。2ndブロックの大型化により、接地面を増やしている。
トレッドコンパウンドも重要で、親水性の高いシリカを高濃度で配合することにより、ウエット路でのグリップを大幅に向上させている。実際にウエットのテストコースで走らせてみると、路面に張り付くような安定したグリップを発揮していることが体感できた。水深が深くてもハイドロプレーン限界が高く、おそらくスタッドレス史上最高のウエット性能に達しているといえるだろう。
シリカはまた転がり抵抗を低減する効果も発揮する。こうしたトレッドパターン、コンパウンドなどの相乗効果で、アイスガード6は乾燥・ウエット両舗装路で納得のいく性能を実現。都会や市街地を走行するユーザーにも、安心して冬のドライブが満喫できる性能となっているのだ。
ただスタッドレスタイヤは万能ではなく、高速連続走行やコーナーを攻め込むなど無謀な運転をしてはならない。また路面温度が高温になる夏期に装着したままでいると、摩耗を早めるだけでなく夏期ドライブの安全・安心にもかかわる。ゴムは摩耗するという一般常識を正しく理解し、スタッドレスタイヤはそれに適した環境で最高の性能が発揮されるということを正しく認識しておいてもらいたい。