長距離を歩く習慣がないベトナムはバイクが生活の中心
ベトナムにおける2017年の四輪新車販売台数は約27万台となる一方で、二輪車は約327万台と、まさに“桁違い”にオートバイが売れ、そして街なかを数多く走り回っているのがベトナムとなる。
そのためホーチミン市内でも、道路上はオートバイの車列のなかを縫うように四輪車が走っているといったイメージとなっている。ホーチミン市内のような大都市でも、地下鉄はいまだに工事中で未開通。唯一ともいえる公共交通機関は路線バスぐらいとなるので、庶民の“移動の足”はオートバイになってしまっているのである。それほど長くない将来には、オートバイから四輪車へ“庶民の足”がシフトしていくのだろうが、いま現在はとにかく街にはオートバイが溢れている。
地元では“お洒落エリア”とされる、モーターショー会場のある“7区(さすが、かつてはフランス統治下にあっただけに、パリのように市内が区分けされているのだ)”でも、例外なくオートバイが溢れている。
モーターショー会場から、市内中心部にある宿泊しているホテルまでは約6.5㎞の距離なので、試しに歩いて帰ることにした。成長途中の新興国の都市にありがちなのだが、歩道はあっても激しくデコボコしていて歩きにくいし、突然なくなったりするのは、ここホーチミンでもお約束であった。
ただ歩いていると、歩道脇のカフェや商店の地元民がやたらとジロジロこちらを見てくるのである。そこでホーチミンを複数回訪れている事情通に聞いてみると、「オートバイが普及しており、庶民は自分で運転するだけでなく、バイクタクシーも利用しているので、長距離を歩いて移動するという習慣がないようなので、ジロジロ見られたのではないか」と教えてくれた。
6.5㎞とはいえ、歩道があったり、なかったり、そしてあったとしても歩道いっぱいに飲食関係の露店が出ているなど意外なほどハードな環境のなかで宿泊先をめざして歩いていると、オートバイが続々と歩道を爆走してきた。車道を見ると渋滞が激しく、オートバイと四輪車が長い列を作っていた。そのためショートカットをするために歩道に入ってきたようなのである。
バリアフリーとは縁遠い、段差がありすぎ、さらに路面はデコボコが激しく、ただでさえ細心の注意をはらわないとケガをしそうなのに、オートバイまで歩道に乱入してくる事態も想定しなければならない。一秒たりとも気が抜けないのがホーチミンの歩道なのである。