オーナーが高齢化している新型クラウンがいまどきの「コネクテッド機能」を前面に押し出す理由とは

最新テクノロジーを採用することもクラウンの伝統

 プラットフォームから刷新した新しいトヨタ・クラウンもすっかり街に馴染んできた。まだまだハイヤーやパトカーになっている姿を見ないこともあり、新型になって目指した新しいクラウン像を表現しているように感じることが多い。シックスライトのスタイルも新世代になったことを主張しているし、そのスタイルは磨き上げた走りもアピールする。

 さて、そんな新しいクラウンは、カーナビとDCM(専用通信機)を標準装備したコネクテッドカーであることもセールスポイントのひとつ。トヨタ流では『コネクティッドカー』と呼ぶのがこだわりだ。運転中でも、ステアリングのトークスイッチを押すだけで簡単にトヨタスマートセンターと通信でつながり、オペレーターに口頭で検索などを依頼できる。ホテルやレストランの予約までしてくれるのだ。こうした、ドライバー1人ひとりに寄り添ったカーライフを充実させるサービス(T-Connect for CROWN)を3年間無料、4年目以降は16,000円/年(消費税抜き)で提供するというのは、サービス内容を考えればバーゲンプライスといえる。

 こうしたサービスを前面に押し出さなくともクルマとしての魅力で売るべきではないか、という意見もあるだろうが、限界性能でクルマを評価する時代ではなくなっているのも事実。コネクテッド性能もクルマの評価ポイントとして重要になりつつある。新プラットフォームによる骨太な走りは、スポーツ走行ではなく、日常で感じる信頼感につながっていくというのが現代的な理解といえるだろう。

 クルマとの信頼感でいえば、オペレーターを介さなくとも、車両とのエージェント(音声対話サービス)によりナビで目的地などを検索することもできることも効いている。さらに、LINEでマイカーとつながれることは「愛車」という意識を強めてくれる。しかもLINEで目的地を設定したり、ガソリン残量が確認できるなど、実用的なサービスなのだ。

 そもそもクラウンの歴史は、最新テクノロジーの採用の歴史でもある。初代では四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを日本で初めて採用した。1971年に誕生した4代目では横滑り防止装置を採用していたほどだ。ほかにも、5代目クラウンが搭載したオーバードライブ付き4速ATは世界初のメカニズムであったし、11代目では世界で初めてマイルドハイブリッドシステムを搭載した。新しいメカニズムの採用は、クラウンの伝統である。過去にしばられない、新しいクラウン像を示すという新型だが、コネクテッドという最新テクノロジーを全面的に採用したのは、クラウンとしては当然の事といえるのかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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