これまで見て来た中国車とは明らかに質感が異なる
LINK & COの新型は4ドアのスポーティセダンだった。エンブレムを見る限りモデル名は「03」で、先発の01、02がコンパクトSUVだったのに対しセダンを送り込んできたことが明確になった。
中国仕様なのでもちろん左ハンドル。インパネやセンターコンソールの大型液晶ディスプレイがいかにも中国車的な大胆さだ。文字設定が中国表記のままなのでデフォルトのままスタートするしかない。ルームミラーを調整しようと手をやると、それは最近のボルボ車とまったく同じもののようだ。シフトレバーノブもボルボ車的。LINK&COはじつは中国の吉利汽車の資本で作られた新会社であり、吉利はスウェーデンのボルボ社を傘下に収めていることから、さまざまな繋がりがあるであろうことは容易に想像がつく。
インテリアはデザインセンスも造り込みも素晴らしい。スポーティかつ実用的でステッチが縫い込まれたステアリングやダッシュボードの仕上がりも丁寧だ。これまで見てきた中国車とは明らかに質感が異なる。
エンジンを始動。シフトセレクターをDレンジにセットして走行開始だ。エンジンは極めて静かで振動も少ない。乗り心地や快適性に厳しい中国ユーザーに配慮した仕上がり。トランスミッションもトルコンのようにすスムースでシフトショックがない。ステアリングスポークのパドルを操作すると、小気味よく変速する。どうやらDCT(ツインクラッチ)を装備しているようだ。直線区間で試すと7速まであるDCTであることがわかった。
コーナーのターンインではステアリングのレスポンスが適切で、スムースにライントレースできる。旋回Gの高まりに呼応して穏やかにロールが発生。決してハードなサスペンションではなく、ストロークを大きくとってバンプステアも穏やかに設定してある。やや急激なステアリング入力を与えてもタイヤがしなやかに変形し、不快な腰砕け感やスキール音は発生せず、スキッドスリップ振動も起こらない。
車体は剛性が高く、異音も起こさず極めてスムースに旋回していく。100Rの高速コーナーや後半の登りテクニカルセクションでも次元が高く、コントロール性に優れスタビリティのあるハンドリングに終止している。セダンボディゆえ前後の重量配分も極めて良く、ハードブレーキングからのターンインや急旋回中のタックインでもリヤタイヤがしっかり接地していて破綻しない。フロントは軽く、ステアリングへのフィードバックもしっかりしていて好感が持てる。
ストレートで加速するとコントロールタワー手前までで180km/h弱に達した。まだまだ余力があり、200km/h超えは確実だろう。車速が高まるほどにステアリングの直進性は高まり、保舵力も重くなって車速によりステアリングアシストを変化させているようだ。さらに車体はリフトするどころかダウンフォースを発生させ、高速域ではゼロリフトを達成している。
所々でトラクションコントロールやESPが介入するが、その頻度は極めて少なく、介入量もうまくプログラムされていて挙動を乱さず速度変化も最小だった。
はっきり言って驚きのシャシー性能である。おそらく富士スピードウェイで事前テストなどは行っていないだろう。ぶっつけ本番で運び入れて、いきなりテストドライブさせているのに、これほどの好フィールを得られるとは思わなかった。
ピットに戻り装着タイヤを確認するとドイツ製のグッドイヤー・イーグルF1であることがわかった。