サーキットに持ち込んでも車両の安定性は変わらない
次はいよいよサーキット・コースへ。ドライブモードセレクトでサーキット用のトラックモードを選択。ローンチコントロールも使えるというので試してみた。電子制御は完全オフを選択できるが、今回の試乗会ではトラックモードまでの設定に制限されているので電子制御オフは試せない。それでもローンチスタートでは、後輪を若干ホイールスピンさせながらダッシュさせることができた。これで0-400m加速は12.7秒と俊足を発揮できる。
コーナーへのアプローチでは、まずブレーキ性能に優れていることが印象的だ。ブレンボ社と共同で開発された専用のキャリパーと、8kgと軽量のブレーキディスクをフロントに配置。リヤブレーキはやはりブレンボ社が特許を持つ電子パーキングブレーキアクチュエーターとキャリパーを一体化させた、専用仕様が装着されている。ハードブレーキングでもブレーキペダルストロークが増えず安定しており、車両姿勢もフラットに保たれている。
これはフロント44%、リヤ56%と理想的な重量配分であることと、フロントサスペンションにアンチノーズダイブジオメトリーが採用されたことによる相乗効果でもある。リヤサスペンションはアンチスクワッドジオメトリーが採用されていて、コーナー脱出時の加速でリヤが沈み込み、フロントが浮き上がってアンダーステアになるのを防いでいる。
その結果ハードブレーキングからのターンインから旋回、加速とコーナー全域においてフラットな車両姿勢が維持でき、軽快で速い。フラットな車両姿勢はサスペンションストロークに常に余裕が与えられるので4輪の接地性が高く、結果コーナリング中に電子制御が介入して走りにくくなるのは僅かに抑えられている。
このサーキット走行においても車体剛性は高く、サスペンション剛性も優れていて4輪のホイール位置が設計通り正確に保たれているのがわかった。それはレーシングカーのような質感でありサーキット走行に適している。新型アルピーヌA110はこのように、期待をまったく裏切らない高い完成度を示してくれた。
それを可能にしたのはアルピーヌ社のA110に対するこだわりとともに、ダビッド・ブラッシュという優れた開発ドライバーの存在が大きかったと思う。ダビッドは今回に試乗会に為に来日し、富士スピードウェイに来て同乗走行をしていたが、彼の走行ではトラクションコントロールがオフにされ派手なドリフト走行を楽しんでいた。その様子を観察していても4輪の接地性が高いことでトラクションがかかり、ドリフトしながらも速い様子が観て取れた。
このアルピーヌA110の走行性能なら、現状ライバルと言われるトヨタ86やマツダ・ロードスター、フィアット124スパイダーなどを凌駕しているといえるだろう。そこで思いついたのがジムカーナへのチャレンジだ。アルピーヌA110なら現状最強のジムカーナマシンになれると確信できる。これで打倒・ジムカーナの鉄人・山野哲也選手を目指すのは面白いかも。アルピーヌ・ジャポンさん、いかがでしょう!?