走らせる速度域に合わせた取り付け剛性を確保するため
輸入車に乗っている方ならご存じだろうが、ホイールはボルトで止められている。一方、日本車はナットだ。これは昔から変わらないのだが、なぜだろうか? ホイールを交換したりする際も、ボルトだと位置が合わせにくく、非常にやりにくいことも。輸入車もナットにすればいいのに、と思うことも多々ある。
もちろん、日本車、輸入車それぞれに理由がある。重要なのは結合ポイントだ。ボルトであれば車体と結合されるのは、ボルトのネジ山部分だけ。一方、ナットだと、ハブに立てられたスタッドボルトとナットのネジ山という2カ所になる。
ここが重要で、結合部分が少ないほうが、取り付け剛性は上がる。この点を重視するのが輸入車で、使用される速度域が高く、足まわりへのストレスが高いゆえに、少々取り付けにくくても剛性が高いほうを重視するわけだ。
一方の日本車は使用速度域が高くはないので、それほど剛性を求めなくてもよく、それよりも交換時の簡便性を重視した結果、スタッドボルトとナットを使用している。もちろん今では、スタッドボルトでも精度や素材がよくなったことから、ボルトに比べて剛性が大きく落ちるということはないのでご安心を。
メンテナンス的な面でも見ると、ネジ山が痛んできた場合、スタッドボルトなら打ち変えればよいため手間も費用も抑えられる。ナットタイプの場合はハブを交換しなくてはならず面倒だ。最終的にはどちらがいい悪いとは言い切れず、お国柄や考え方がよく出ていると言っていいだろう。