冬の怪物の異名は伊達じゃない! 圧雪路から氷上までヨコハマの新スタッドレスを徹底チェックした

氷上での圧倒的な制動性能の向上を体感!

 今年も冬のシーズンがやってくる。近年の不安定な天候は南国九州にも降雪をもたらし、首都圏でも大雪を記録するなど全国どこにいても天候の変化には備えていかなければならない状況だ。この時期、ウインタータイヤの新作が多く登場し、全天候仕様などバリエーションも増えているが、やはり雪国を中心にクルマを本格的な移動手段とするドライバーにはスタッドレスタイヤが求められている。

アイスガード6

 ヨコハマタイヤは昨シーズン、アイスガード6を登場させた。毎年進化が謳われているのが当たり前となっているが、アイスガード6はこれまでの進化とはレベルが違う。その詳細をリポートしよう。

アイスガード6

 一般の人にとってタイヤとは、ゴムでできた丸い物体ということは理解しているだろうが、その細部については区別がつかないのではないだろうか。じつはゴム自体にもタイヤの形状や構造にもさまざまな技術が盛り込まれており、スタッドレスタイヤはタイヤ最新技術の固まりであるといっても過言ではない。レース用スリックタイヤと同様に高度な技術革新が果たされていると言えば理解してもらえるだろうか。

アイスガード6

 アイスガード6で採用されているゴム(いわゆるコンパウンド)は従来モデルとは次元の異なる分子構造で構成されているのだ。その基盤となっているのが「シリカ配合技術」。シリカとは二酸化ケイ素のことで、これをゴムに混ぜると柔らかくても強靭なゴムになることが1990年ごろから知られているが、ゴムに混ぜる技術や分量に独自のノウハウがある。

アイスガード6

 アイスガード6では新しい配合技術を用い、新次元のコンパウンドを完成させ採用しているのだ。その威力はというと表面がツルツルのスリックタイヤにこのコンパウンドを採用すると氷上を普通に走れてしまうというほどの威力を発揮する。

アイスガード6

 さらに、この基盤となるトレッドコンパウンドゴム技術に加え、氷上性能をさらに高めるべくサイピングを施した。「クワトロピラミッドディンプルサイプ」と呼ばれる複雑な4ッ折サイプ部と丸穴のディンプル部を合わせ持つ特殊形状の採用により、高い排水性と氷上でのエッジ効果に貢献。立体形状のサイプが互いに支え合い、ブロック剛性を向上させ、接地性を確保する。摩耗が進行した場合でもディンプルが剛性を確保し、エッジ効果を持続させる。

アイスガード6

 またスタッドレスタイヤの経年劣化を抑える技術も新開発。オレンジ由来の素材である「オレンジオイルS」をコンパウンドゴムに練り込むことで「永く効く性能」を大幅に高めているという。

 スタッドレスタイヤではさらにウエット性能やオンロード性能も求められる。氷上路、圧雪路だけでなくアスファルト舗装のウエット/乾燥路でも一級の性能が発揮できなければならないのだ。

 氷上性能に対してはマイクロ吸水バルーンの吸水効果が好作用するが、通常のウエット路面ではトレッドパターンによる排水特性も重要。左右非対称ブロックにストレートリブパターンを持つトレッドパターンはウエット路での排水性、高速走行時の排水性を高めることに貢献している。

アイスガード6

 実際にアイスガード6を装着した車両で走行テストを行った。氷上/圧雪路が主体のテストコースだ。氷結路面がタイヤの空転で磨かれたミラーバーンの路面でも発進性は不安なく、スムースに動き出す。

アイスガード6

 路面に轍が刻まれた圧雪路でもハンドルの操舵に忠実にターンし、ライントレース性もよく安心感がある。

アイスガード6

 ブレーキゾーンは氷上路面で表面に溶けた水膜が発生している悪条件ながら、ブレーキの踏み込みに対し確実な制動Gに高まりが得られABSの介入も少なく短い停止距離で止まれる。従来モデルのアイスガード5プラスから15%氷上制動性能を高めたという技術を体感することができたのだ。

アイスガード6

  

 さすがに舗装路の乾燥/ウエットコンデションを試すことはできなかったが、ヨコハマタイヤのデータでは5%の制動距離の短縮が確認されているということで安心だ。

 また経年変化はサマータイヤ実証されている部分もあるが、これも4年経っても変わらぬ性能が発揮されると確認しているという。

「冬の怪物」として登場したアイスガード6。最も高度な革新技術の固まりともいえるこの製品は今冬、最も頼もしいスタッドレスタイヤとして多くにユーザーから支持されるだろう。

YOKOHAMA iceGUARD 6(アイスガード シックス)
サイズラインアップ:135/80R13〜275/40RF20 全114サイズ

【詳しくはこちら】
問い合わせ:横浜ゴム株式会社 0120・667・520(受付時間 平日:9:00~17:00)


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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