末期モデルより出たばかりのモデルの方が“気持ち”買い得
ふたつ目は予約受注を活発化し、できるだけ多くの受注を集め、人気グレードやボディカラー、選択頻度の多いオプションなど、予約購入客の傾向を知ることで本格生産に入ってから、どの仕様のモデルの生産をメインにするかなど、より効率的な生産計画を立てるための“データ取り”と考えているのが理由となる。
つまり予約段階で当該新型車の契約を決めてくれたひとには、“協力費”のような意味合いで値引き条件がアップしていると考えてもらえばわかりやすいだろう。実車を見ることができずにセールスマンの資料だけで購入を決めるのは、ある意味リスクが高い面もあるが、これも最近の傾向として、正式発売後には納期が遅延傾向になるモデルが目立つので、納車を早めにするためにも予約という形で購入を決めるひとも多いようだ。
最近は正式発売直後より、予約受注段階のほうがキャンペーンを展開していたりもするので好条件が出やすい傾向となっている。正式発売後もけっして値引き条件が極端に締まるということはないが、買い得感は発売前のほうが高いように見える。
新型車をデビュー直前や直後に購入すれば、仮に納車遅延となっても(極端に遅延しない限りは)、それだけまだ世の中に流通していないタイミングで乗り出すことになる。単にその優越感に浸れるだけでなく、2回目車検ぐらいのタイミングで代替えすれば、まだ現行モデルのままといったモデルも多いので、下取り査定額も満足のいく条件が提示されることが多い。モデルチェンジまでの期間が長いので、飽きることなく長く乗れることにもつながるのである。
一方の末期モデルは、購入する目的は大幅値引き狙いしかない。ただ輸入車では“改良を重ねた最も熟成したモデル”としてあえて購入するひともいるようだが、日本車ではとにかく“安く新車を買いたい”という理由で末期モデルをねらうひとが多いようだ。
“安く買えればいい”と思い、希望どおりの条件で無事契約。しかし、いざ納車されてから数カ月後には、モデルチェンジした新型車と街なかですれ違うことになる。こうなると、予定より短い期間で飽きがきて代替えしてしまうということも起きかねない。乗りつぶすつもりで購入したが、それより短い期間で代替えとなっても下取り査定額はデビューしたてのころに比べれば明らかに条件は良くないので、追い金(新車への代替えで新たに必要となる資金)もかなり必要となってくるだろう。
また一般的には新型登場の1カ月前が目安となるが、オーダーストップ(契約車の在庫がなくディーラーから工場への新規生産の発注受付を終了する)となり、それ以降は各ディーラーが持つ“販売店在庫”のみでの販売となる。こうなると、各モデルで確実に利益をあげなければならないので、オーダーストップ前の段階よりは値引きが伸び悩む傾向が強くなる。そしていよいよあとわずかともなれば、“指示値引き”というものが各在庫に設定され、より値引き拡大を引き出しにくい状況となることも多いので注意してもらいたい。
単純に新車購入段階でのことだけを考えれば、値引き条件が拡大傾向の末期モデルのほうが断然得するといえるのだが、購入してから手放すまでの期間というロングスパンで損得勘定すると、飽きがきにくいというところもあるので、登場したばかり(とくに登場直前)のモデルを購入したほうが、その後にいろいろな動き(短期間で代替えするとか、飽きがこないので結果的に長期間乗れたなど)がとれるという面で末期モデルより“気持ち”買い得なのかもしれない。