本番に向けてラリー北海道でレキに挑む
CARトップの編集部女子がドリフトガールとタッグを組み、中級者向けのTRDラリーカップ前哨戦にトヨタ86で参戦! 今回は北海道にはるばる遠征。国内ラリーの中で最長距離を誇る大会『ラリー北海道』のレキに挑戦した。北の大地に試されるふたり……果たしてその行方は?
ラリーはサーキットで行われるレースと違い、公道が競技の場となる。ステージは競技開催のため一時的に閉鎖されるが、その間の移動は一般車と同じく公道を使うため、日本のラリーでは車検に合格してナンバーがついた車両で争われる。安全装備を準備するのは必須だが、普段乗っているクルマでも参戦することができるのがラリーの特徴といえる。
その初心者向けのラリーイベント『TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ(TGRラリーチャレンジ)』は、近年は1度の開催で参戦可能枠を超えるエントリーが集まるほどの盛況ぶりをみせている。
さらに国内ラリーを盛り上げるため、初心者たちのステップアップの場として中級者向けラリーイベント『TRDラリーカップ』が今年発足し、来年より本格始動することが発表された。そこでCARトップ編集部は、海外ラリーにも参戦中の名門チームである、キャロッセの車両『クスコ86』と共に今年開催される『TRDラリーカップ』の前哨戦に挑戦することに!
ドライバーにはFR車両の限界値を理解したドリフト女子の水原亜利沙さんを起用し、コ・ドライバーはTGRラリーチャレンジに参戦中のCARトップ編集部員の私、中村が務める。
といっても、ラリー初心者のふたりがいきなり中級者向けラリーイベントに挑むのはハードルが高いので、キャロッセが参戦する国内最大級規模とステージ距離を誇るラリー北海道に帯同して参戦することになった。結局車両トラブルによって出走することは叶わなかったが、ステージの下見であるレキやチームのサービスに参加することができたので、その様子を中心にリポートする。
編集部・中村(以下、中):2日間に渡るレキ、お疲れ様でした。どうでした?
ドライバー・水原亜利沙(以下、水):ラリー北海道って参加受付を含めると5日間で開催されるんだね。レキも2日間あるし。さすが日本最大級のラリーイベント……。レキはステージの距離が本当に長かったね。路面も未舗装路だから緊張したけど、リヤが流れると体が反応しちゃった。ドリフトに通じる部分があって少し楽しかったかも。
中:楽しかったですか、亜利沙さんらしい(笑)。国内にはラリーイベントがいくつかあり、難易度以外にわかりやすい違いでいえば、ステージ距離が挙げられます。初心者向けの『TGRラリーチャレンジ』は、イベントにつき大体15kmほど、TRDラリーカップや地区選手権などラリー中級者向けのイベントになると大体30〜50km、そして国内における最高峰イベントにあたる全日本ラリー選手権は60km〜250kmにも及びます。とくに全日本ラリー選手権のラリー北海道は、国際ラリーとの併催ということもあり、開催規模やステージ総距離も国内最大級の大会なんですよ。
水:あと、少しずつペースノートに情報をいれられるようになっていったのも収穫だったかな。
中:ラリーのステージ距離は長く、道の形状をすべて覚えきることはなかなかできませんから、レキ中に次のコーナーの距離や危険箇所について入れたりして、ペースノートをちゃんと作ることは重要ですよね。ただ作るだけでなくて、実際にレーシングスピードで合わせてみると、意外と聞き取れなかったり、作り方が違っていたと気づくことがあって、そうやって徐々に自分にあったペースノートが作れるようになっていくと思います。
水:結局私たちってどれくらいレキしたの?
中:今回はレキするステージを選んだり、本当だったら2回走れるところを1回しか走らなかったりしたので、約86kmほどでした。
水:すごい! いい経験値になったと思うな。レキに必要なものもほとんど簡単にそろえられるよね。
中:白紙ノートとペン、ステージまでの道案内が書かれたロードブックくらいですかね。ロードブックは参加者に対し、大会で配られます。ドライバーとコ・ドライバーでヘッドセットを持っていると、どんな悪路でもスムースにコミュニケーションが取れるのでいいですよ。
水:……レキが終わったら、スタートまで何もしないって訳じゃないよね?
中:選手だけにフォーカスすれば、大まかにいえば参加受付をして、レキして、実際に競技をスタートしてって流れになるんですが、車両にフォーカスしてみるとラリーという競技の特色が見えたりして、結構面白いんですよ。今回は車両をメインにしてイベントを追ってみましょうか。
水:実際ラリーを観戦する人って、ラリーカーを見るのが目当てで来てる人も結構いるだろうしね。
中:まずラリーカーは競技の前に車検を受けます。今回はキャロッセさんのラリーチーム、CUSCO・レーシングが参戦している国際ラリー、FIAアジア・パシフィックラリー選手権の車検を見てみましょう!
水:わ、マシンをリフトに上げるんだ……。封印している箇所を見てるのかな?
中:レースにもいえることですが、マシンの基礎となる部分がレギュレーションに則って争われるのが、モータースポーツです。イベントのレベルが高いほど車検の内容も厳しくなり、2時間ほどかかるそうです。
水:レギュレーションの中でもチームに選択の余地を残しているタイヤの種類とかは競技の戦略にあたるから、完全にはイコールコンディションにはならないんだよね。
中:そこはレースでも同じですね! モータースポーツの醍醐味のひとつです。じゃあイベントの本拠地、サービスパークに戻りましょうか。
水:いざ競技がはじまると、マシンを整備したり、調整したりする時間が限られるんだね。
中:そうなんです。スタートしてから、大体正午に一度サービスパークに帰ってきて、その後またスタートして、1日の最後の車両保管前にもう一度サービスパークに戻るのが、国内でも海外でも同じ流れです。どんなにマシンが損傷していようとも、参加者に与えられる制限時間は一緒なので、ここでチームのメカニック力や総合力が問われます。
水:足まわり交換も15分くらいで終わっちゃった……。すごい! 壊れたバンパーも毎度修復してるんだね。
中:私の師匠から聞いたことがあるのですが、強いマシンはいつでもキレイなんですよ。あと、最後に車両の重さを測るので、規定通りでないと失格になってしまうということもあります。CUSCO・レーシングはマシンがサービスに戻ってきたら毎度マシンをキレイにしていますね。高圧洗浄機やガラスクリーナーなどでピカピカになっています。
水:私たちも手伝おうよ! ……わ、あっという間に出ていっちゃった。でもサービスに参加できて嬉しい。限られた時間だからチーム全体がピリピリしていて緊張するけど、その中に強い連帯感が感じられた! ラリーってカッコいいな〜。この作業を見にくる観客もいっぱいいたね。
中:モータースポーツはチーム戦なのがいいですよね。環境によって変化する過酷な公道なので、クラッシュやマシンの破損は日常茶飯事です。その中でもチームがマシンを直して、クルーたちが完走まで漕ぎ着ける……。そういうのって熱いですよね!
水:また完走後のセレモニアルフィニッシュもいいよね! みんなで完走した感じがある。CUSCO・レーシングはFIAアジア・パシフィックラリー選手権で総合優勝確定だって! イベントの一連を見てきたから感動しちゃった!
中:わー! おめでとうございます! 海外で戦うラリーチームの様子を間近でみることができ、勉強になった5日間でした。ラリーに対するやる気も俄然湧いてきました!
水:来月の「2018 TRDラリーカップ プレシーズンマッチ シロキヤラリーin豊根」が楽しみだね!
私達が初参戦するのは、10月7日(日)に愛知県で開催される「2018 TRDラリーカップ プレシーズンマッチ シロキヤラリーin豊根」。ふたりの挑戦はまだ続く。