もともとはダイムラーの意匠登録だった
ベンツといえば、ボンネットの上に輝く3本のマーク「スリーポインテッド・スター」を、そのブランドの象徴として思い浮かべる。3本の光を示す形は、陸海空とあらゆるモビリティにおいて頂点を極めるという強い意思を示したもので、ベンツのモノづくりにおける完璧主義を象徴するエンブレムとなっている。
ただし、歴史をたどれば、このスリーポインテッド・スターはもともとベンツのエンブレムではないことは、ご存知だろうか。現在のメルセデス・ベンツはあくまでも自動車のブランドであって、企業名はダイムラーという。もともとベンツとダイムラーは別の会社だったが、1926年に合併して、いまのダイムラーへつながっている(ダイムラー・ベンツという社名の時代もあった)。
そして、スリーポインテッド・スターを意匠登録したのは、ダイムラー社であり、それは1909年のことだった。つまりメルセデス・ベンツのエンブレムはダイムラーの創業者であるゴットリープ・ダイムラーの意思を継いだものというわけだ。ちなみに、合併以前のベンツが使っていたエンブレムは、BENZの文字を月桂樹が囲っているというデザインだった。
合併時にはスリーポインテッド・スターを月桂樹で囲うというラジエターマスコットのデザインも商標登録されたという。いまでも、ボンネットやホイールセンターキャップなどにメルセデス・ベンツという欧文と月桂樹を周囲に置き、中央にスリーポインテッド・スターを配したエンブレムが使われている。こうした意匠は、ベンツとダイムラーが合併したという事実を伝えるものだ。