車両総重量の違いに左右される
乗用車用のホイールは4穴と5穴が混在するが、16インチ以上のホイールは、5穴が基本と考えていい。こうしたホイールのボルト穴数は何で決まるかというと、車両総重量の違いに左右されている。
これは物理的な問題で、ボルト穴の数=ハブボルトの数に比例して、支えられる荷重が増えるため。車格が上で車体が大きく重たいクルマで、タイヤ・ホイールのサイズが大きいクルマは、ハブボルトを増やす必要がある。乗用車より、積載量が多いハイエースだと6穴になったり、大型トラックが8穴、10穴となるのはそのためだ。
日産GT-Rのようなハイパフォーマンスカーが5穴ホイールで、軽自動車が4穴だったりすると、ボルト穴数が多い方が高性能というイメージになるかもしれないが、ボルト穴数は強度の問題。
アフターパーツのホイールは5穴の種類が豊富にあるので、5穴の方が選びやすく、そのためPCDチェンジャーやPCD変換スペーサー、あるいはハブごと交換などで4穴を5穴に改造する例もあるが、性能的なメリットは期待できない。
また、上級車種のブレーキキャリパーなどを移植するために、4穴から5穴用のハブにすることもあるが、これも性能面でメリットがあるのは、ビッグキャリパーになったブレーキ部分に限った話で、ボルト穴数の増加そのものの利点はない。
レーシングカーの場合、F1をはじめ、スーパーGTなども、センターロックが当たり前なので、ボルト穴数は中央にひとつだけ。整備性等を考えると、いたずらにボルト穴数を増やしても意味がない。ホイールも、4穴・5穴共用ホイールやマルチPCDのホイールなども発売されているので、4穴であってもけっこう選べる範囲は広いはず。
自動車メーカーが、車重やパフォーマンスから強度を十分検討し、4穴あるいは5穴でOKと判断して、ボルト穴数は決まっているので、性能的にどちらが優れている、といったことは考える必要はないだろう。