セルフスタンドの普及などで空気圧チェックの回数が減っている
最近のクルマはメンテナンスフリー化が進んでいると思われているかもしれないが、そうした中で、じつは昨今、着実に増えてきているトラブルがある。それは、タイヤのパンク。JAFのロードサービス救援依頼内容のデータを見ると、パンクやバーストなど、タイヤのトラブルによる救護要請件数は下記のとおり。
2013年が32万5846件(全体の13.32%)
2014年が33万2974件(14.36%)
2015年が35万2183件(15.55%)
2016年が37万5969件(16.27%)
2017年が39万1799件(16.96%)
このように、年を追うごとに増加してきているのがわかる。とくに高速道路では、救援依頼内容の第1位が、「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」で、全体の34.94%(2017年)を占めている。どうして、タイヤのパンクのトラブルが増えているのか?
タイヤのパンクの原因は、
1)走行中、タイヤに釘などの異物が刺さる
2)タイヤの空気圧不足
3)タイヤサイドウォールを縁石等にヒットさせ(こすり付けて)傷つけてしまった
4)タイヤの劣化・寿命
5)ホイールのリムの変形、劣化(ホイールもじつは消耗品)
6)第三者による故意によるもの(いたずら)
の6つが考えられるが、近年のパンク増加の原因として、とくに疑わしいのは、2番のタイヤの空気圧の不足と4番のタイヤの劣化・寿命。
JAFの実施したアンケートによると、ユーザーの36%が、自分のクルマの指定空気圧を知らず、推奨されている毎月1回空気圧チェックを行っている人は、14%に満たないとのこと。タイヤの空気圧はきちんと適正値に合わせても、1カ月で約5~10%も自然に低下する。空気圧が低下しているとタイヤのたわみ(変形)が大きくなり、高速で走れば走るほど、タイヤのたわみによりタイヤが発熱し、トレッド表面のセパレーション(はく離)を起こしたり、最悪の場合、バーストの原因となる。
JATMAの調査で、街を走る乗用車の約41%が、空気圧不足だったことがわかっているので、空気圧不足がパンク増加の原因のひとつと考えて間違いない。JAFでは2010年以降、セルフ式ガソリンスタンドが急速に増加し、それによりガソリンスタンドのスタッフにタイヤ空気圧をチェックしてもらう機会が減ったことをその理由として注視し、ユーザー自身が定期的に適正空気圧に調整するよう注意を呼び掛けている。
もうひとつのタイヤの劣化・寿命も、国民一人あたりのGDPが落ち込んだ影響もあり、タイヤの交換サイクルを伸ばしたり、タイヤそのもののコストカットで品質が……だったりという問題が考えられる。いずれにせよ、タイヤは命を乗せているもの。定期的な点検・整備と、適切な交換サイクルを守って、パンクなどのトラブルを一件でも減らせるようにしたい。