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ミニバン・SUVを卒業したらコレ! 子離れ層に乗って欲しい300万円以下のセダン&クーペ5選

ミニバン・SUVを卒業したらコレ! 子離れ層に乗って欲しい300万円以下のセダン&クーペ5選

数はかなり少ないがまだまだ魅力を感じるモデルはある!

 幼い子どもがいたりすると、背の高い軽自動車/コンパクトカー/ミニバンが使いやすい。しかし、子どもが成長して夫婦2人になったり、独身の場合は、クルマ選びに実用性はあまり関係ない。好きなクルマに乗りたい。

 最近はSUVの人気が高まった。ボディの上側はワゴン風の形状だから、居住性や積載性が優れ、下側は大径タイヤなどによって迫力がある。つまりSUVは、実用性とカッコ良さの両立で人気を得たが、見方によっては中途半端だ。子どもが成長して、せっかく夫婦2人になれたのに、どこかで「所帯」を引きずっている。趣味に徹し切れていない。SUVが好きな人には余計なお世話だが、本稿はそういうテーマなのだ。

 そうなると選択肢は、昔懐かしいセダンとクーペだ。この2つのカテゴリーから、趣味性の感じられる車種を選びたい。問題は価格だ。現実離れしてもダメだから、300万円を上限と考える。根拠はミニバンだ。ファミリー層に購入されるヴォクシー/セレナ/ステップワゴンなどの売れ筋価格帯は260〜300万円になる。この範囲なら非現実的ではないだろう。400万円はさすがに高い。

 そこで300万円以下の車種を探すと、ミニバンからSUVに乗り替えるユーザーが多い別の理由に気付く。SUVであれば、日産エクストレイル4WD・20X、スバル・フォレスター4WDツーリング、三菱エクリプス クロス4WD・Gなど、価格が280〜300万円のミドルサイズモデルが豊富なのだ。

 ところがセダンとクーペになると、300万円以下では欲しいと思える車種が大幅に減る。プレミオ&アリオンは発売から11年を経た。マークXにも辛うじて300万円以下のグレードはあるが、9年近くを経過する。アテンザは2リッターのガソリンエンジン車になって動力性能が足りず、クリーンディーゼルターボは300万円を超える。クーペもGT-RやフェアレディZは300万円を大幅に超えてしまう。

 メーカーの関係者は「今は若年層のクルマ離れが進み、セダンとクーペが売れない」と嘆くが、文句を言う前に「自分たちの品ぞろえをよく見ろ」と言いたい。値上げされたり、あるいは廃止されて、購入可能な価格帯に欲しいと思えるセダンやクーペがほとんどない。しかし本稿はそういうテーマだから、敢えて探してみたい。

■セダン

ホンダ・シビックセダン
(265万320円/CVT)

 プチ・セレブ感があるか否かは別にして、走行安定性と乗り心地のバランス、1.5リッターガソリンターボの動力性能は満足できる。居住空間も相応に広い。

 インパネなどの質感は高いとはいえず、外観もどことなく地味だから、シルバーの外装色を選ぶと営業車風になる。しかし外装色をレッドにすると、まさにスポーツセダンだ。もちろん5ドアハッチバックにも魅力がある。

 50歳以上の読者諸兄には「シビックは特別なクルマ」と考える人も多いだろう。国内仕様を勝手に廃止して、肥大化して戻ってきたあたりは腹立たしいが、やはりシビックだけに選ぶ余地は相応に残されている。

マツダ・アクセラセダン15XD・Lパッケージ
(268万9200円/6速AT)

 シビックセダンと同程度の価格で、1.5リッターのクリーンディーゼルターボを搭載することが魅力だ。しかもLパッケージだから、本革シートが装着され、内装の装飾に合成皮革も使われる。上質感は相応に満足できる。

 エンジンはディーゼルでは軽快な吹き上がりだが、ガソリンエンジンに比べると、当然ながら実用回転域の駆動力が高い。これがSOHCやDOHCになる前の、OHVだった昔のガソリンエンジンを思い出させる。着実に駆動力を発揮しながらジワジワと吹き上がり、エンジンによっては6000rpm前後まで回った。良くできたディーゼルは、中高年齢層のノスタルジーを刺激する。

スバル・インプレッサG4・4WD・2.0i-Sアイサイト
(261万3600円/CVT)

 シビックのガソリンターボ、アクセラのクリーンディーゼルターボ比べて地味だが、ほぼ同じ260万円台で、スバル車らしい4WDの最上級グレードが手に入る。

 シビックやアクセラに比べて視界が優れ、乗り心地も適度に柔軟だから、リラックスしながら安心して運転できる。セダンでは後席が広いことも特徴だ。奥さまも運転しやすく、夫婦円満の世界観がある。

■クーペ

マツダ・ロードスター 1.5 S スペシャルパッケージ
(275万9400円/6速MT)

 2019年は、初代ロードスターの発売から数えて30年になる。自分がジジイになったことを実感するが、初代モデルに回帰したコンセプトで開発された現行型は、まさに初代を知る世代に向けたロードスターだ。

 職業柄「今のロードスターは、昔に逃げているからダメなんだ。もっと前を向いて、昔とは違うライトウエイトスポーツを目指せ」と言いたい面もあるが、個人的には現行型が楽しい。

 ちなみにもっとも価格の安いSは一般的ではないが、6速MTなのにリヤスタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)が省かれ、緩い運転感覚が初代を連想させる。試乗中、20代の頃をむやみに思い出した。こういう、ちょっと感涙を誘うクルマは貴重だ。

スバルBRZ・S
(297万円/6速MT)

 トヨタ86でも良いが、水平対向エンジンを搭載するからスバルが本流だろう。

 BRZと86の速度計の目盛りは細かくて、かなり見にくい。そこでデジタル表示も併用するが、このデジタル表示をBRZはすべてのグレードに標準装着した。86はGT系のみになり、速度が分かりにくいグレードもある。こういった配慮の違いもあり、BRZを応援したくなる。

 発売当初に比べると、動力性能と乗り心地を中心に走りが洗練された。雰囲気は地味だが、ボディが軽かった昔の後輪駆動の運転感覚を思い出す。

 話がノスタルジーに偏って申し訳ない。上限が300万円なら、ベテランドライバーの読者諸兄は、どの車種を選ばれるだろうか。

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