インタークーラーのパイプを破損し痛恨のデイリタイヤ
トヨタのヤリス(日本名/ヴィッツ)が活躍するWRC(世界ラリー選手権)の第9戦ラリー・ドイツに、自動車評論家の国沢光宏さんがフォード・MスポーツのフィエスタR2でスポット参戦中。3日目の模様をリポートしよう。
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ラリー・ドイツの3日目は、名物ステージ「パンツァープラッテ」を含めた4本のSSをサービスを挟んで各2回走行を行なった。計8本のSSの合計距離は150.12km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は453.94kmだ。
日本で450kmというと東京~名古屋間に相当するが、こちらは信号がほとんどなく、道幅が広く、クルマの交通量も多くないため、移動に関してはまったくストレスにならない。
今回はサービスパークを主として、イベントを追っていこう。
まずは朝。ラリー2日目以降はまずパルクフェルメという車両保管場所へマシンを取りに行くところからスタートする。解除される時間は各マシンごとに決まっていて、基本的に出走順に取りに行くことになる。その後、15分間のサービスに突入だ。
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国沢さんによると、朝の限られたサービスの中では、天候に合わせたタイヤの最終決定やダンパーなどの細かい調整、そしてマシンの掃除を主にするという。WRC最高峰クラスから下のクラスまで内容はほぼ変わらない。
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過酷な道を走行しているのにもかかわらず、国沢さんのフォード・フィエスタR2がいつもキレイさを保てているのは、超耐久撥水ボディコートの「ルックス レインコート」とガラスクリーナー「Stoner インビジブルガラス」のおかげとのこと。どちらも呉工業の製品だ。フロントガラスの曇りや汚れはラリーに限らず、モータースポーツの敵。とくに「Stoner インビジブルガラス」はその不安をなくしてくれる頼もしい味方なのだとか。
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サービスを一通り終えて、ラリー競技がスタート。3日目の大目玉となるのは、バウムホールダー軍事演習場内を走行する「パンツァープラッテ」だ。見渡す限りのなだらかな丘が続いている広大なステージで、スタート近くには巨大なスクリーンが設置され、軽食ブースが立ち並び、多くの観客を呼んでいた。
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走行1時間前に到着し待機していると、場内の大きなスクリーンにドイツのスーパーGTにあたる、DTMが放送されていた。早い人だと数時間前から場所取りのために会場に訪れている。そういった観客にとって嬉しいコンテンツだろう。
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パンツァープラッテは競技車が観客の前を何度も走行するステージで、丘の上で全体像を見るか、それともマシンとの距離を縮めるのか非常に迷う。今回は写真を撮るべく近さを選んだ。
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サービスパークに戻ると、国沢さんのマシンだけが先に戻ってきていた。パンツァープラッテの残り5km地点で軽くクラッシュし、インタークーラーのパイプを損傷させたため、デイリタイヤを喫したという。パンツァープラッテはイベントのなかでも相当の距離を占めるため、WRC最高峰クラスのドライバーにとっても、ここでのデイリタイヤは大きなマイナス。快調だったが故に、非常に残念な結果となった。
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しかしラリーの規則上、最終日以外で車両の修理が可能な場合、ペナルティが加算されるものの翌日再び出走することが可能だ。国沢さんのマシンは修理され、最終日再び出走することに。
今回、同じくデイリタイヤを喫した最高峰クラスのエルフィン・エバンスも半日がけでマシンを修理しており、アクシデントが多いラリーではそれもひとつの見どころとなる。
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1日の競技が終了したマシンたちはサービスパークに戻ると、点検や修理に入る。この時、1台のマシンに充てられるメカニックは4名まで。オレンジ色の腕章をしているのがチームが申請を出したメカニックで、それ以外の人がマシンに触れないかを主催者側が1人1台体制で監視している。
この後、再びパルクフェルメにマシンを持っていけば、その日のラリーは終了となる。
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ラリー・ドイツ3日目で、トヨタのオット・タナクは首位を維持し、ヤリ-マティ・ラトバラも順位を上げて3番手につけている状況。もしかするとトヨタが表彰台の二角を捉えるかもしれない。
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翌日はとうとう最終決戦と表彰式が行われる。デイリタイヤから復帰する国沢さんの走りに期待したい。