グローブボックスは本当にグローブを入れるためだった
クルマの名称としてよく使う割には由来がよくわからないものがある。たとえばグローブボックス。助手席の前に付いている物入れのことだが、これは想像がつくように、その昔、運転用の手袋を入れていたから。英語ではグローブコンパートメントと呼び、日本語と少し違うが、グローブの部分は同じだ。
そのグローブボックスがある助手席。これもよく考えると変な言葉だ。グローブボックスのように、昔は運転の助手が乗っていたからなのかと思いきや、歴史的に見て、早い時期からクルマはひとりで運転するものだったし、英語ではアシスタントシートとは呼ばず、パッセンジャーシートと呼ぶ。つまり日本独自の用語と言っていいのだ。
では、なんの助手なのかというと、戦前にあった円タク(1円でどこでも行ける)というタクシーの運転手の隣に座っていた丁稚のこと。運転手見習いとして、ドライバーを助け、お客さんが乗り降りするときにドアを開閉したりと、さまざまな補助が仕事だった。その助手が乗るのが、運転席の隣だったために、助手席と呼ばれるようになったというわけだ。
またわからなくはないけど違和感があるのが、ウェザーストリップ。ドアや窓枠に使われているフチゴムのことだが、ウェザーは天気。ストリップは細長い切れといった意味。実際に長いゴムで、雨風の侵入を防ぐので、間違ってはいないが、ズバリそのものの意味でもないのがなんとも違和感ありだ。ちなみに英語でもウエザーストリップで、由来は不明ではある。