セダンがオヤジ臭いなんて誰が言った! オヤジ臭ゼロの国産セダン5選

セダンは若返りを図りつつ復権を狙っている

 いいクルマと言えばセダン、憧れのファミリーカーと言えばセダン、成功者の証と言えばセダン。なんてセダンがもてはやされていたのは、90年代半ばまでの話でした。そこから彗星のごとく現れたミニバンにその座を奪われ、さらにSUVブームがのっかり、今じゃボディタイプ別の販売台数シェアはたったの6%ほど(国外ブランド除く)。すっかり、セダンに乗るのは昔気質のオヤジだけ、なんて時代になってしまいました。

 でも! その陰で少しずつではあるものの、セダンは思い切った若返りをはかりながら、復活の時を虎視眈々と狙っているんです。若い世代にも一度は乗って欲しい、オヤジ臭がしないセダン、着実に増えているんです。今回はそんな5台をご紹介したいと思います。

1)マツダ・アテンザ

 まずは、若返りセダンの先駆者と言ってもいいでしょう。デザインに並々ならぬ魂を込めて2012年に登場した、マツダ・アテンザ。アスリートの引き締まった筋肉を思わせるボディには色気さえ漂っていて、テーマカラーとして押し出した「ソウルレッド」がイブニングドレスのようにエレガントさを引き出しています。外観も中身も毎年のように改良を行なってきていて、2018年5月の大幅改良ではさらに外観やインテリアが磨かれました。

 そして2リッターのガソリンと2.2リッターのクリーンディーゼルによる走りは、ロングドライブからワインディングまで気持ちいいのひと言! もちろん先進安全装備もフルに搭載されますが、レーダークルーズコントロールの追従機能が全車速対応になって、ノロノロ渋滞のストレスも軽減してくれます。登場から6年でかなりの熟成期に入ったアテンザですが、だからこそ、満足度の高い1台とも言えそうです。

2)トヨタ・クラウン

 続いては、長年のしがらみを捨て去って大胆な若返りをはかったことで話題となりましたね。2018年6月にフルモデルチェンジしたばかりの新型トヨタ・クラウンです。マジェスタ、ロイヤル、アスリートという、オヤジ臭が染み付いてしまったグレード体系もやめて、標準仕様とRS仕様に統合。

 そのボディシルエットはもう、低いワイドスタンスで機能美あふれる印象に大変身しているし、レース模様のシートカバーとか、ジャラジャラと数珠みたいなマッサージカバーとか、もはや絶対に合わないモダンなインテリアになっています。

 パワートレインは軽快な2リッターターボ、静かでバランスのいい2.5リッター直4ハイブリッド、重厚でパワフルな3.5リッターV6ハイブリッドの3タイプが設定されていますが、それぞれの特徴がしっかり差別化されていて、どれも満足度の高い仕上がり。若い世代なら、やっぱりサラリと2.5リッターハイブリッドで乗るのが今ドキかもしれませんね。

 世界でもっとも過酷と言われるドイツのニュルブルクリンクサーキットで鍛え上げた、本気の走りとは裏腹に、トヨタが推進する「コネクティッドカー」のお頭役も担う新型クラウン。これに乗れば、最新のトヨタ、いや日本車の世界が体感できるはずです。

3)トヨタ・カムリ

 そしてもう1台、トヨタからは昨年フルモデルチェンジしたカムリ。こちらもかなり気合の入った若返りをはかったセダンです。というのは、カムリはアメリカで絶大な人気を誇るものの、裏では「食パン」なんて皮肉なあだ名をつけられていたそうなんですね。まぁ、大きな特徴のない無難なクルマ……って意味らしいんですが、それじゃダメだ、もっと魅力的なセダンに生まれ変わろう! ということで誕生したのが新型カムリというわけなんです。

 ワイドなグリルが目を惹くフロントマスクは好き嫌いが分かれそうですが、それくらい個性的じゃないと変身できませんよね。サイドやリアビューは、流行のクーペスタイルとは一線を画す、ルーフをボディ後方まで引っ張って後席の居住空間を広げるタイプなのに、なかなかエレガントなシルエット。2.5リッターハイブリッドの走りも、剛性感が高くて洗練された印象なので、オヤジ臭ゼロです。

4)ホンダ・シビック

 さてお次は、昔から若々しいセダンが多かったホンダから。2017年9月に約7年ぶりの日本復活となった、シビックセダンです。パッと見はリフトバックみたいなリアスタイルを持ちながら、独立したトランクとなる立派な4ドアセダンのデザインは、もはやオヤジには理解不能でしょう。フロントマスクも、オヤジたちにはやや不評な新世代ホンダ顔ですが、若い感性の持ち主には響くはずです。

 しかも、パワートレインはVTECターボとなる1.5リッター直4のみ、という潔さ。排気量の大きさを自慢げに話していたオヤジ世代とは、明らかに価値観も違うというのがシビックセダンのいいところですよね。

5)ホンダ・アコード

 そして最後にもう1台、ホンダ・アコードもミドルサイズセダンの中では昔からオヤジ臭のしない希少なモデルです。40年以上の歴史があるアコードですが、今はハイブリッドのみをラインアップ。

 すでに北米では新型も発表されているのですが、現行モデルの走りもまだまだ古さを感じさせないもの。走行用と発電用の2つのモーターを駆使して、静かで上質なクルージングから、315N・mの太いトルクでちょっとヤンチャな走りまで味わえるセダンは、乗ってるとアドレナリンが湧き出してきて、オヤジ臭を洗い流してくれそうな感じもします。

 ちょっと価格が高めなのがネックですが、若々しいのにしっかり高級感もあるという、元祖アスリート系セダンはやっぱりカッコイイですよね。

 そんなわけで、セダンは長いあいだ、四角張ったデザインにギラギラ光るメッキバンパー、というデザインがオヤジ臭のモトでしたが、若返りをはかったセダンたちのデザインはもはや別物です。ボディカラーも綺麗な色が増えて、女性たちの目を惹くもことも多くなってきました。

 個人的な意見ですが、セダンに乗ってる男性って、どこか安定感があるというか、結婚相手としてすごく魅力的に見える瞬間があるんですよね。そこに、少しの色気とスポーティな若々しさ。それが加わった最新のセダンなら、女性からも家族からも「カッコいい」と言われそう。これまで敬遠していた人たちも、今こそセダンに注目してみてはいかがでしょうか。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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