日産GT-Rが「スカイライン」を捨てたワケ (1/2ページ)

近年のスカイラインとは目指す方向性が異なった

 日産が世界に誇るハイパフォーマンスカー、GT-R。歴代GT-Rでも、5代目のR34までは、スカイラインの高性能バージョンという位置づけで「スカイラインGT-R」という車名だったが、R35は「スカイライン」と決別し「日産GT-R」と名乗るようになった。R35GT-Rは、なぜ「スカイライン」ではなくなったのか。

 真相はカルロス・ゴーン氏にインタビューでもさせてもらわないと語れないが、おおよそ次のような理由が考えられる。

1)GT-Rをグローバル展開したかったから

2)クオリティの高いセダンと、スーパースポーツのパフォーマンスを両立できなくなってきたから

 ご存じのとおり、「スカイライン」はR34まで、基本的に国内専用車種で、輸出はされていなかった。世界戦略を考えると、ローカルネームの「スカイライン」ではなく、日産のフラッグシップとして、その名もずばり「日産GT-R」にしたかったということだろう。

 また「スカイライン」の型式は、6代目=R30以降、R31、R32、R33、R34と、「R●●」を継承してきたが、11代目のV35からは、V35、V36、V37と「V」にチェンジ。独立したGT-Rは、「R35」の型式を与えられているので、必然的にスカイラインとは別の路線に……。

 ふたつ目の理由は、ポルシェなども凌駕する、国産最強のハイパフォーマンスカーを開発するには、セダン=「スカイライン」ベースであることが足かせになってきたため。歴代スカイラインGT-Rは、セダンベースの高性能車というのがアイデンティティだったわけだが、セダンにはセダンの要件があり、スーパースポーツとしてのGT-Rとの両立がいよいよ難しくなってきたと考えられる。

 セダンの場合、居住性も重要、装備、質感もライバル車に引けを取るわけにはいかないし、乗り心地、静粛性、環境性能、そして価格といったことを考えると、サーキットで世界のスポーツカーをやっつけるには、あまりにも条件が厳しくなる……。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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